オーランシー用語の基礎知識(1)


 ホームページ開設の頃から予定しながら、ようやく連載が始まりました (^^; 「グワンドルのサガ」。連載と平行して、いろいろな解説も行っていく予定です。第一回目から数回は、「オーランシー用語の基礎知識」と題して、「サガ」を読むための基礎知識的なことを解説していきたいと思います。

※あわせて「グローランサ年代記」の「オーランス人に関する報告」を読んでもらうと分かりやすいかもしれません。
 

●氏族(Clan)と部族(Tribe)(1)

「オーランスは最初の氏族を作り給うた。我らも氏族を作る、オーランスのように」

──グローランサ年代記

 「サーターは氏族・部族社会である」とされています。ところがこの「氏族・部族」というものが日本では馴染みが薄く、どんなものかいまいちイメージし難いのではないでしょうか?

 氏族というのは、簡単に言えば「祖先を同じくする人々」のことで、基本的には同じ血を引く一族の事を指します。「拡大家族」と言ってもいいでしょう(従って、同じ氏族の者同士の結婚は近親相姦と言うことになり、タブーとなります)。また、ある事件を機に意志を同じくする人々が集まって氏族を作ることもあります。氏族は、オーランシー社会では、最も基本的な社会集団の単位とされています。

 氏族はだいたい500人〜1000人、最大で2000人ぐらいで構成されます。その大部分は「自由農民」(カール)で、彼らが集会で選んだ族長と、族長の任命する「内なる輪」(通常7名から成る)が氏族を運営します。氏族の全員が一つところに住むわけではなく、氏族の土地に、集落(ステッド)を作って分散して暮らしています。族長の住む館のある氏族の中心のステッドをトゥーラと言います。

 農地は個人のものではなく、氏族の所有ということになっており、自由農民は氏族から土地を借りて大麦、小麦、カラス麦、ライ麦などの栽培と、牧畜を行います。これらの集落を守るために、族長が選んだ「近侍戦士」がパトロールを行います。

 すべての氏族のメンバー(85%以上)は、オーランスとアーナールダのみを信仰しています。さらに、各氏族ごとにその歴史的な由来によって特殊な神(フマクト、チャラーナ・アローイなど)の信仰が強いこともあります。たとえば、グワンドル氏族はフマクトの英雄グワンドルに創立された氏族なので、フマクト信仰が盛んとなっています。

 氏族は交易・戦争・信仰などを共同で行うために「部族」に加わることができます(必ずしも加わらなくてもよい)。各氏族の同意によって部族の王を選び、王の選んだ「部族の輪」と共同で氏族間の関係調整を行います。サーターには現在24の部族があります。ルナー帝国の侵略までは、さらに部族の上にサーター王家の主催する「サーター高等評議会」があり、これが部族の間の関係調整を行っていました。

 氏族の一例として、グワンドル氏族のプロフィールを挙げておきます。まだ解説されてない用語などもありますが、それについては後ほど解説していくことにします。

グワンドル氏族(Gwandor clan)

誇りとすること:獰猛な「戦の氏族」であり、テルモリ族と凄まじい戦いを演じた“大剣の”グワンドルによって創設された。
族長:“オフィールの息子”クルブラスト。途方もなく太った、食事好きの“戦士”オーランス信者。
大地の母:“猪の傷の”メンヤ。
属する部族:クルブレア部族(ジョンスタウン東方)
特筆すべき経済活動:周辺氏族からの進貢。
尊重する美徳:「勇気」
ルナーとの関係:公的には中立だが、心情的には仇敵。
氏族のタイプ:戦の氏族
氏族の寺院:

オーランス(中寺院)。アーナールダ、ヴィンガ、バーンター、イサリーズの社を含む。
フマクト(小寺院)。英雄グワンドルの社を含む。
オデイラ(社)
ウラルダ(社)

人口:613人
近侍戦士:9人
フュルド:220人
(農奴):84人
古来の友:プラックス人
ドラゴンに対する態度:憎悪
古来の敵:太陽信者
新しい敵:ドラゴニュート
隣人に対し:協調的

沿革:

 “大剣の”グワンドルは1460年ごろ活躍した「フマクトの剣」であり、クルブレア部族の「死」の崇拝者たちのリーダーだった。サーターが“鎖帷子の”ジョンとテルモリ族との間に平和を結ばせたとき、グワンドルはクルブレア部族の中でテルモリと敵対する者たちを集め、新しい氏族を作った。これがグワンドル氏族のはじまりである。やがてフマクトの影響力は減じていったが、クルブレア部族のフマクト寺院(デス・ホロウにある)は今もグワンドル氏族の土地にある。
 グワンドル氏族は1602年の対ルナー戦争に参加したが、「カロマン村の戦い」で敗北した。後にクルブレア部族の王“木々を跳びこす者”ホフスタリングにしたがって「スターブロウの反乱」に加わったが、再び敗北し帝国によって罰せられた。その後は平和を主張するアーナールダやバーンターが氏族の中で発言力を強めている。

次回もひきつづき氏族に関する解説の予定です。