グローランサ
※当レビューは「Scoops RPG」ホームページにて掲載されたものです。
著者:Greg Stafford,Sandy
Petersen,William Dunn/翻訳:田中勇樹 |
# 写真は分冊「ジェナーテラブック」の表紙です。
『ルーンクエスト』の背景世界グローランサの、北大陸ジェナーテラ全土の地理、民族、文化を扱ったサプリメントを翻訳した物。
内容物は以下に挙げる三冊の分冊と一枚の地図から成っている。
・グローランサブック
グローランサという世界全体の神話、宇宙構造、歴史、社会、宗教、統治システム、冒険者の立場等について解説している。その解説は非常に詳細で、我々の現実の世界の現在や過去との比較、魔術や神々といった要素の影響について事細かに述べられており、架空の世界の基盤に十分なリアリティを与えている。
・ジェナーテラ・プレイヤーブック
プレイヤー向けの本で、未開(スンチェン/原始狩猟社会)、遊牧(プラックス/ネイティブアメリカン風遊牧民)、蛮族(オーランス/ケルト、ゲルマン風部族社会)、君主(マルキオン/中世ヨーロッパ風社会)の、グローランサのプレイでよく使うであろう4つの地域の社会や文化について詳細に述べた前半部と、グローランサ用の経歴表を掲載した後半部に別れる。
前半部では、それぞれの社会ごとに、通常の設定解説と、架空世界内の年長者が若年者に社会について語ったことという体裁の『父が教えてくれたこと』の二つで構成されている。その解説は、衣食住、法律、慣習、異邦人の扱いなどロールプレイの指針として十分な物である。また『父が教えてくれたこと』という形式は、雰囲気づくりの上でも、キャラクター個人の視点を理解する上でも非常に効果的である。
後半部は、基本ルールにあった汎用のキャラクター作成経歴表をグローランサ用に手を加えた物である。
・ジェナーテラブック
ジェナーテラ大陸のワールドガイド。各地の地名、民族、社会形態、著名な人物、言語を網羅している。さらに、シナリオヒントになる各地方毎のイベントと、英雄戦争の予言も収録されている。
その分量は圧倒的で、場所や人物の解説も非常に個性的であるが、広範な地域を扱うために一つ一つの場所や人物についての解説は簡単な物にとどまっている。ある程度努力して記述の内容をユーザーが膨らませたり、具体的なデータを用意すれば十分実用に耐えうるが、それよりも『ゆりかご河』『太陽領』といった地域別サプリメントを利用した方がずっと効率的なのも事実だろう。
・ワールドマップ
ジェナーテラ大陸の巨大な全体地図。
グローランサ全体の地理、民族、文化面の総合的な資料として非常に充実している。プレイヤーも、『ジェナーテラ・プレイヤーブック』にはぜひとも目を通すべきだろう。
個別の場所や人物は量こそ多いものの一つ一つの説明が少ないのは残念だが、それはこのサプリメントの方針を考えればやむを得ない事だろうし、そうした物が必要なら、プラックス地方なら『ゆりかご河』、ドラゴンパス地方なら『ルーンクエスト90S』と『ドラゴンアトラス』を購入する事をお薦めする。
イラストに関して言えば、草薙琢人氏による日本語版独自のボックスアートは相変わらず素晴らしいが、その他の英語版のものを使用したイラストは、人物の扮装の説明など最低限の必要事項は満たしてはいるが、質が高いとはとても言えない。