ヘンダーズ・ルインの領主


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著者:水野良ほか
カテゴリー:RPG関連小説集
発行者:株式会社ホビージャパン
形態:ブックタイプ
ページ数:288ページ
値段:1,200円
ISBN:4-938461-62-5
レビュー著者:まりおん(yelmalio@za2.so-net.ne.jp)

●概説

 本書は1991年に発行されたTRPGの背景世界を使ったアンソロジー小説集です。この本が発行されたころはまだ出版各社による「作品の囲い込み」が始まっていなかったため、ホビージャパン社の作品以外の小説も収録されています。もとはRPGマガジン誌に掲載されていたものを集めたもの。
 収録作品は「ヘンダーズ・ルインの領主」(ルーンクエスト、水野良)、「ピラムスの怪物」(トラベラー、山本弘)、「解けなかったリドル」(T&T、清松みゆき)、「スキュラの恐怖」(クトゥルフの呼び声、山本弘)、「ローガンの子 ガラナの子」(AFF、下村家恵子)、「“試練場”後日談」(ウィザードリーRPG、高井信)、「悪魔と天使の間で……」(GURPSルナル、友野詳)。挿し絵は弘司や貞本義行などとなかなか豪華です。

●解説

 作者の顔ぶれを見るからにSNE小説書き大集合!といった感じですが……。このレビューはRQのレビューなので、水野良氏の「ヘンダーズルインの領主」にだけ焦点を絞りましょう。
 今では「ロードス島戦記」で有名になった著者ですが、かなりのRQフリークであったことでも有名です(タクティクス誌やRPGマガジン誌にグローランサ紹介のページを連載していたりしました)。たしかにソードワールドRPGの背景世界フォーセリアなんかにも多少影響が見えますね。
各短編はTRPG解説、小説、作者あとがき、巻末のキャラクターデータといったオーソドックスな構成になっています。
 本作は、プラックスの外れに位置するヘンダーズルイン(「ゆりかご河」の地図を参照)をヴァンパイア退治に訪れたオーランスの司祭だったが、そこには……といった内容です。ほんとうにシナリオを小説化した感じですね。で、この主人公のオーランスの司祭なんですが、「後方支援が得意」とか、自分の配下の入信者を盾にするとか、自由奔放というかただの卑怯者のような気がしてならないのですが(笑)。むしろ、協力者として登場するゾラーク・ゾラーンの“死の王”の方が主人公らしい行動をします。これを読んで「トロウルかっこいい!」と思った人も多かったようです。
 どうでもいい話ですが、なぜかデータがRQ2版のものになっています。シルフの使い勝手がよかったりするのはそのためです。

●結論

 現在読んでも特に設定などでひっかかる点はなく、十分楽しめることでしょう。オーランス信者といってもいろいろバリエーションがあるなあ、と感じることができるのではないでしょうか。ただ、こんなに卑怯者では司祭は向いてない気はしますし(笑)、あまりオーランス人の氏族部族社会の風習なんかは描けていません(本作の目的から外れているので特に欠点ではないと思われますが)。RQ小説は海外では「Griserda」といったものがあるのですが、本作は国内唯一のRQ小説としても貴重だと思います。気になったのは、これって Chaosium の許可とってるの?ということで、まあ多分取ってないんだろうなあ。
 RQ以外でも山本弘氏の二作などは、かなり読ませます。価格も手ごろですし、見かけたならば購入しても損はないと思います。ただし現在ではかなり入手困難かもしれません。