第一話 
グワンドル族の勇士たち、邪悪な帝国と戦うために旅立つの事

 

 “嵐追うもの”として知られる、グドニという男がおった。その父はブジャン、勝利者オーランスの丘でルナーと戦って殺された男だ。その母は“運命を告げる”ハルヴァ、ボールドホームでルナーと戦う中で倒れた。彼はグドニステッドに住み、“黄金の娘”ドルサを妻に娶っておった。彼はまた常に同盟精霊のアリンクス、“影に忍び寄るもの”と常に行動を共にしていた。彼は強き近侍戦士であり、“雷鳴轟く”オーランスの偉大な祭祀であり、「輪」に族長の賢い助言者としての役割を果たしておった。

 グドニステッドの隣には、“冒険者”ヘドコランスの信者、“嵐の剣”シグムンドの住むシグムンドステッドがあった。シグムンドとグドニは親友であり、共に遠く旅して共にたくさんの敵を倒しておった。

 グワンドル氏族はオフィールの息子クルブラストに率いられておった。クルブラストは良い男であり、賢く強い男だったが、困難な立場に置かれておった。「スターブロウの反乱」が失敗したとき、グワンドル氏族の戦士たちのほとんどは野に倒れ、その精霊はダーカ・ファールの前を過ぎてオーランスの広間に向かうという事になった。強き戦の氏族は、赤い兵士たちとその混沌の魔術によって地に貶められた。氏族を救うため女たちが実権を握り、多数派として、恐るべきグワンドルを時のはじまりよりあった地位から引きずり落としてしまったのじゃ。

 さて、ここにヒョルトランドからの異邦人、名をゲティグという者によって、グワンドル氏族のトゥーラに帝国との戦の知らせがもたらされるという事があった。彼は氏族の意向を問うため、集会を開くことをクルブラストに乞うた。グドニはシグムンドと共に集会の地に向かった。じゃが、まずはゲティグの言うこと聞くかどうかで大変な議論となったのじゃ。

「なぜ我らは奴の話を聞いて時を無駄にすることがあろうや?」 氏族の「内なる輪」のアーナールダ、“猪の傷の”メンヤは尋ねた。

「本当に議論すべきは、次の季の農地の割り当てであろう」 グドニの兄弟である「輪」のバーンターの代表、“鉄の鋤の”ヨルデンはそう指摘した。

「なぜ、汝らはその男の言う事を聞くのをかくも拒むのか?」 グドニは尋ねた。「我らは誇り高き男ではないか。クラング殿、御身をかくも不興にさせることを彼がしたというのか」

「おおさ、我らは誇り高き男だとも! だが、南方人どもは名誉というものなど知らぬのだ! 俺が南で戦い、捕らわれたとき、奴らは俺の身柄を引き受けたと思うか? 否! 奴らは脚から血を流す俺を置き去りにし、俺は森の中で死ぬところであったわ。奴に帰れと言ってやれ!」

 シグムンドは言った。「ヨルデン殿、遠方よりの知らせは収穫に影響があるのではなかろうか。赤い帝国は戦のなかで気候そのものに影響を与えるかもしれぬ」 それに対してヨルデンの応えはなかった。

 そこにクルブラストの近似戦士の一人、アーグラスが前に進み出てメンヤに挨拶した。「何故貴方は彼の話す事を聞くのを左様に怯えるのか。我々はグワンドル氏族ではないのか? 敵どもが我らのフュルドを見て震え上がらないと? 貴方のような者がこの強大な氏族を今あるような状態にしてしまったのだ。我らの周りの氏族はもはや“七つの進貢”を納めようとはせず、逆に我らを略奪する始末だ! 我らはグワンドル氏族だ! 我らは強い! 我らは貴方ら女たちのスカートの後ろに隠れていることはできぬ。我らは我らの物であったものを取り戻すのだ!」 メンヤは腹立たしげに唸ることしかできなんだ。一方、集まった人々はアーグラスの言葉に喝采を送った。

「我らは彼の話を聞かねばならぬ」 クルブラストは毅然と言った。

 ゲティグは、ホワイトウォール包囲の知らせと、帝国が来るべき都の陥落の暁には祝賀を予定している事を報せた。「ホワイトウォールは、より多くの都市を防衛する者、あるいは都市を攻撃する者が少なくなることを望んでいる」。彼はグワンドル氏族に都市を防衛する者を送るか、または帝国に対して兵を挙げてほしいと望みを述べた。クィヴィンの地でグワンドル氏族より勇敢で激しい者はいなかったが、彼らはカリルの反乱で教訓を学んでおった。グワンドル氏族は、ホワイトウォールに協力しない事と決めた。

 その夜、グドニはゲティグを彼のステッドに招き歓待した。グドニは高価な黄金の指輪を彼に贈った。帝国との戦いに興味を抱く者はゲティグとともにグドニステッドに集まり、夜遅くまで語り明かした。ゲティグは「サーターのランプ」と、「戦の谷」にある塔の物語を語った。

 さて、その時族長には8人の“炉の護り手”がおったが、その中には次のような者たちがおった。“双剣の”ローサー、フマクトの死の王。ヴァラックス、シグムンドの親族、ウロックスのストーム・カーン。“近侍戦士”アーグラス、“戦士”オーランスの信者にしてサーター王家と遠い血縁を持つもの。“迅雷の剣の”カタラ、ヴィンガの女戦士。

 また、二本松の尾根の森に住むインキンの影の兄弟にしてオデイラの信者、“影に潜むもの”として知られるキャモアルという男がおった。

 グドニ、シグムンド、ローサー、ヴァラックス、アーグラス、カタラ、キャモアルは、ルナーの手から秘された「サーターのランプ」を取り戻し、その帰路に近隣のゴルド氏族を略奪し、牛を強奪してくることを決意した。というのは、ゴルド氏族は数年前からグワンドル族への進貢を止め、最近になってグワンドル族への略奪を繰り返しておったからじゃ。

 さてここで、「スターブロウの反乱」の後、クルブレア部族がルナーの大君主たちによっていかに苛烈に罰せられたかを語っておかねばなるまい。いくつかの氏族は他の部族に移ることを強制された。また、クルブレア部族への進貢は全て違法であるとされた。ゴルド族は他の部族に移った氏族の一つじゃった。ゴルド族はクィヴィンの地のあらゆる氏族に劣らず誇り高い氏族だった。彼らはエルマルを信仰し、クルブレア部族の王に対してどの氏族にも劣らず忠誠を誓っておった。じゃが、ルナーがゴルド族を他の部族に移したとき、彼らは喜んでそれに従ったのじゃ。いまやその多くがエルマルへの信仰さえ捨てて、イェルマリオを信仰するようになっておった。

 アーグラスは塔とランプについて知識を得るため、彼の祖先、ジョロルの霊を召喚することとした。ジョロルの父はサロニル、その父はサーターだ。グドニは彼に対して詩を吟じた。

 汝は「銅の鹿」を狩り出し捕らえ
 赤の兵士を襲い、駆逐せり
 汝はドワーフフォードで「鋼鉄の乙女」と戦い、命を落とせり
 歴史に誇る“長足の”ジャロラーはそなたの子孫なり

 “炉の守護”であるローサーは、族長に個人的な問題のために旅立つ許しを乞うた。族長は全て承知の上で許しを与え、彼が「他の問題を解決してきたように」その問題を解決できるように、と希望を述べた。ヴァラックスは、友人を訪ねるために旅立つ許しを乞うた。族長は片目を瞑って許しを与えた。曰く、「その“友人”はそなたが訪れるのを忘れていたいであろうな」と。アーグラスは個人的な事で旅立つ許しを乞い、族長はひどく厳粛に許しを与えた。カタラは馬を買うために旅立つ許しを乞うた。クルブラスト曰く、「そなたが馬を買えずに牛を連れて戻ってきてもワシは驚かぬぞ」。

 グドニは『オーランス、戦支度をする』の儀式を行ったが、彼のトリックスターがすね当てを隠してしまっており、儀式を最後までやり遂げることはできなかった。

 さて、彼らは馬の背に跨り、最初は北へ向かい、後に東へ向かってゴルド氏族の地に入った。よく踏み固められた小道を避け、一向は数里を踏破した。じゃが深く生い茂った低木の林を抜けているとき、一行は何者かに後を付けられていることに気づいた。キャモアルが回り込んで、テルモリの戦の群れが彼らの後をつけているのを見つけた。残忍な8匹のテルモリと、その血に飢えた「狼の兄弟」たちじゃった。

 一行は追跡者に気づかれないよう手早く準備を行った。カタラは“矢の雨”の歌をヴィンガに歌った。それは一本の矢から何本もの遠矢を生じさせるのだ。アーグラスは“ヴィングコットの大地の槍”の舞いを舞った。それは大地から槍を呼び出すのだ。グドニはアーナールダの守護を盾に、オーランスの稲妻の力を槍に呼び起こした。ローサーとキャモアルは“狂乱の剣の舞い”の葬送歌を舞った。それは複数の敵を攻撃することを可能とするのだ。ヴァラックスは体の汗をよくぬぐってウロックスの狂乱に備えた。シグムンドは“大いなる雷石”に自分の投石を祝福するように祈った。

 カタラがまず矢を放った。弓から放たれた矢は森を貫き、驚愕するテルモリの頭上に降りそそいだ。シグムンドが続いた。致命傷を負った何匹かのテルモリの絶叫が響き渡った。「大地の槍」の線を越えて最初の一頭の狼が襲いかかろうとしたが、槍に貫かれて致命傷を受けて地面に転がることとなった。ローサーは2匹を相手に渡り合った。キャモアルは野蛮な狼に傷を負わされ横たわった。グドニは“雷を呼ぶもの”の一撃を呼びたまわったが、それは空しかった。アーグラスは深い傷を負って倒れた。ヴァラックスはブルの激怒をもってテルモリに突っ込み、何匹かに死を与えた。すぐに、空き地に静寂が訪れた。

 戦いが終わるや否や、ルナー騎兵のパトロールが乗り込んできた。彼らはジョムズ・ウルフに率いられておった。彼らはテルモリの群れを狩り出していたのじゃ。ジョムズ・ウルフは一つの首につき牛一頭の報奨を約束し、「狼の兄弟」の分を除いて一行もそれを受け入れた。グワンドル氏族の者たちは、毛皮を持ち帰ってその勇敢さを示すことを希望した。ジョムズは、彼らはゴルド氏族の土地におり、帰る支度をした方がよいだろうと警告して去っていった。一行は戦いの後の休憩をとり、傷ついた仲間の処置をした後にそうするだろうと述べた。

 今夜の話はここまでじゃ。


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