honeel.jpg (5367 バイト) “踊り子”ホン・イール rufelza.jpg (5247 バイト)
 Hon-Eel the Artress

     月の息子の第三の霊感


 

1.神話と歴史

 ホン・イールは“月の息子の第三の霊感”であり、現在“剃刀”ジャ・イールとして知られる超英雄の前世の姿である。すべての“霊感”は、ルナーの道の精通者たちにとってより良い、そして難解な道を体現した素晴らしき者たちとされている。前回の顕現では、彼女は現況に対して、魔術的なコミュニケーションを通じて芸術的な再創造を行った(赤の平原でついに彼女の踊りは躓き、失敗に終わった。彼女のカルトはその地で彼女が“敗北の赤き魔”として根を下ろしていることを認めていない)。

 赤の皇帝がシェン・セレリスを放逐した「カイトールの戦い」(4/51)の後、第5ウェインの開始を祝う大祝祭に、一人の若き女性がドブリアンの帝国への復帰を伝えるべく現れた。彼女こそは後に「芸術と策謀の女傑」と呼ばれることになるホン・イールであった。彼女はシェンの手から皇帝をかくまったドブリアンの機織り娘との間に生まれた娘であった。彼女は年齢的にはいまだ18歳にすぎなかったが、10年前から既に完全に成熟した女性としての肉体と力を備えていた。彼女はその魔術と技巧を用いて侵略者どもを征服し、国土を解放したのだった。従順な娘であったホン・イールは、父からその独自の流儀を伝授されていた。

 ホン・イールの魔術的な功績は計り知れないものである。至純な魅力と高潔さにより、彼女は世の生きとし生ける者たちの間で快く受け入れられていった。

 ホン・イールは12歳で大地のカルトの女祭位に就いていた。彼女は19歳にして初めて月に昇った。24歳の時、彼女はヒーロークエストに赴き、そこでエルフの神と出会いその恋人となった。恋人は金髪の息子と袋一杯の特別な種子を残し、彼女のもとを去っていった。この息子は若くして悲劇的な死を迎えたが、種子は南方の丘陵地に蒔かれた。ホン・イールはこの地域一帯にトウモロコシ栽培をもたらしたのだ。

 ホン・イールは自らが大地の女神の化身であることを証立てる決意をした。これに成功し、ホン・イールは今日のようにルナー教の大地の女神にしてトウモロコシの母として信仰されるようになった。彼女の帝国全土に渡る活動、特に辺境における活動は、この目的で行われたものである。

 ホン・イールはその生の秘密を帝国全土に広めようと意図した、まったく平和的な女英雄であった。おそらくそれを政治的に利用することにしたのは皇帝だった。ホン・イールはそのように使われるのに対し表だって反対することはなく、そのような行動を彼女自身の目的に沿うように巧みに操った。彼女を騎馬遊牧民に対するに用いることを決めたのは皇帝だったと思われる。

 ホン・イールはオラーヤの未開地への入植運動を率いた。これはアーコス河上流に帝国領を拡大し、原聖地と東方の遊牧民の間に緩衝地帯を設けるものだった。彼女の成功は、遊牧民の決定的敗北の中で頂点に達した彼女自身の不死性の獲得のための奮闘と、政治的な事件との連携によるものだった。

 5/2の「鉄条網の戦い」の後、遊牧民はアーコス河を越えて退き、「赤の平原」と呼ばれる地域に引きこもることに同意していた。これはルナー史上初めてオラーヤと呼ばれる地域に入植する機会を得たことを意味した。皇帝は、進取の気風に富んだ企業に対して土地所有権、交易権、そのた文明的装具に対する権利を売却し、会社の代行人は帝国とその辺境で定住できないでいる人々を徴募し、あるいは買い取り、あるいは捕縛した。未だ東方に時折現れる騎馬遊牧民に対抗するため、皇帝は移民を司祭、財貨、駐屯兵、そしてホン・イールを以て支援した。

 ホン・イールは最初の巡礼者と入植者を率いてアーコス河を遡り、やがて5/17にはオラーヤ君主領となる地方へ入植した。騎馬遊牧民たちは傷跡を舐め、恨みを抱いていたが、ホン・イールは彼らを魔術的な競争に集中させることで長きにわたり平和を維持した。

 ホン・イールと“北部赤の平原の部族の馬の母の尊師”との間の魔術的な争いは、“太陽”、あるいはその最高の代理と3年以内に結婚できるのはどちらかという事で競われることとなった。これは準備とその仕上げに何年も要する偉大で困難な行為だった。ホン・イールは不死なる太陽神に求愛したことで帝国で急速に栄誉と人気を勝ち得ることになった。

 敗北した騎馬遊牧民たちはオラーヤを離れた。だが恨みは残り、その後すぐにオラーヤに対して散発的な襲撃が行われるようになった。

 オラーヤでの活動にもかかわらず、ホン・イールは帝国全土を意気揚々と旅して回っていた。彼女の旅はまた任務を伴ったものであった。その中には敵国ターシュ王国への侵入も含まれていた。

 5/27、ホン・イールはターシュの大地カルトにルナーの教条を持ち込むことを試みた。彼女は大地のカルトの秘儀の中で混沌の女神のために「春の完全なる舞い」を演じることでこれを為したのである。だがこの試みは部分的にしか成功せず、ターシュの王位に幼い息子を残したものの、王国はホン・イールが去ってすぐに内乱に陥った。フォロネステス王子はルナー総督によってよく守られ、19歳にして玉座に上った。

 5/40、オラーヤと赤の平原の騎馬遊牧民の間の関係は修復不可能なまでに悪化していた。この地への入植は古き「原聖地」州を護る属国とすることを意図してのものであったが、最初の会戦でルナーの前哨地は壊滅し、都市は包囲され、再び原聖地の無力な農民たちに対し金切り声を上げる祈祷師たちが魔物を喚び放っていた。

 ルナー正規軍団との間の遭遇戦の結果ははっきりとせず、両陣営は急ぎ増援を送った。ジャーストを通過したルナー属領地軍は、5/42に騎馬遊牧民によって壊滅した。5/43、フロネラの脅威はシンディック大封鎖の呪いにより永久に去ったと確信した西域領の帝国軍がファーストヴィクトリーに到着、ハートランド軍団と合流し、生き残ったオラーヤの都市を救うためにアーコス河沿いを上流へ向け行軍しはじめた。遊牧民たちは撤退しつつ、その力を結集しようとした。

 その後起こったのが、2日間にわたる「恐怖の夜」という戦いである。この戦いには15万人以上の戦士と魔術師が参加した。奸智に長けた騎馬遊牧民たちは遠くオーラソーンから魔術師たちの家門の援助を取り付けていたが、この時までこの魔道士たちの存在は伏せられていた。魔術的な戦いにおいて彼らが急襲してきたことで、ルナー魔術師のほとんどが死亡した。軍が崩壊しはじめた時にも、ホン・イールは両翼より攻撃していた汚らわしい遊牧民たちの眼前で七つの精霊を打ち滅ぼし、右翼が崩れたつのを防いでいた。だがルナー正規騎兵軍団が左翼で包囲されたとき、皇帝は絶望し、その「混沌」の力を招来して助けを得ようとした。オーラソーンの導師たちは彼らの“秘された力”を召喚し、そのルナーの混沌との激突は、戦場に“異界”を解き放ってしまった。生ある者たちは一人残らずきびすを返して逃走しようとしたが、それには深紅と黄色の炎の踊る空から落ちてくる人ならざる敵といたるところで戦わねばならなかった。ホン・イールその人もこの中で命を落とした。彼女はしゃむに戦い、皇帝の愛子を猛り狂う多脚の“もの”(伸び縮みする細い触手の先に頭がついていた)より救い出すのに成功した。“頬髭持つ蛇”ロスドロスの竜が現れ、皇帝の子をユスッパに下ろしていったが、ホン・イール自身はそれ以後姿を見せることはなかった。

 軍事的大災厄の衝撃は極めて甚大であった。遊牧民の伝承においても、ルナー帝国の記録においても、生存者は数えるほどであったとされている。これはST.1120年の「ドラゴンキル戦争」に匹敵するものであった。遊牧民たちは彼らの生活のよりどころである家畜たちを屠殺し、もてる物だけを持って、生き残った女たちと子供らを連れてペントの地に去っていった。その年、「ペントの一人の戦士は百人の妻を持った」と言われている。彼らは赤の平原を捨て、その地では「曙」以来はじめて草々は深く茂った。

 遊牧民たちと同様、帝国も後退した。だがそれは地理的なものではなかった。遂に平和を得、皇帝と臣下たちはルナーの“内なる道”を追求し始めたのである。これ以後、ルナー哲学は熱心な再建から放縦な自己充足に変化した。新しい芸術様式、魔術的な流行、奇怪なカルトが横行し、帝国の指導者たちと小作農たちの間の断絶は拡大していった。

 このウェインの終わり、帝国は女神が地上を離れてより最も静穏で平和であった。国境は、西方ではシンディック大封鎖によりゆるぎなく、東方では遊牧民たちは引き退いていた。南方では戦に悩まされてはいたが、皇帝はそれを慎重に取り扱い、野心家、冒険者、トラブルメーカーに対して用意された限定された脅威を提供した。ウェインの終わり、ルナーの皇子であるターシュのフォロネステスが26歳で王国を運営していた。

  このウェインの終わりの儀式は、疲れ果てた帝国の安堵の吐息と共に始まったのであった。

 ホン・イールは確かに死後の生はあることを保証している。彼女は世界の不条理は一過性のものであるとしている。純粋な心はその報酬を受け、邪悪な者は神罰を受けるとする。“月の踊り子”たちは正確な「死後の生」の実態について触れるのを慎重に避け、やがてそれは明らかにされると説く。葬礼は地域の習慣に従う。

 ホン・イールは「月」、「豊穣」、「大地」(moon3.jpg (5315 バイト)fertility.jpg (5311 バイト)earth.jpg (5320 バイト))のルーンと関係を持つ。彼女は優美で端麗な女性として描かれている。彼女は右脚でバランスをとりながら踊っている。左脚は右の膝の上にあり、トウモロコシの束を握っている。

 

原典:

Cult of Hon-Eel the Actress by Andrew Behen

(※注:「神話と歴史」はまりおんがダイジェスト版として抄訳しました。)

 

 

原注:

 Cult of Hon-eel the Actress は独創ではありません。この記事の内容の多くは下記の原典に拠っています。

・“Cults within Lunar Empire”、Steve Maurer
・“ルナー帝国の歴史 第5ウェイン”、グレッグ・スタフォード
・“Cults of Prax”の中の「七母神のカルト」、グレッグ・スタフォード&スティーブ・ペリン
・“The Fortunate Succession”、グレッグ・スタフォード
・“グローランサ年代記”;「ドラゴン・パス合史」、グレッグ・スタフォード
・“グローランサの神々”;「神名録」、グレッグ・スタフォード、サンディ・ピーターセン、スティーブ・ペリン、チャーリー・クランク
・“Wyrms Footprint”;「Hon-eel the Artress」、グレッグ・スタフォード
・“グローランサ入門ブック”;「アーナールダのカルト」、グレッグ・スタフォード、サンディ・ピーターセン、リン・ウィリアムズ
・“Dorastor - the Land of Doom”:「Cult of Drasta」、グレッグ・スタフォード、サンディ・ピーターセン、Troy Bankert、Oliver Jovanovic。
・“Tales of the Reaching Moon #2”;「Hop War」、David Hall。

2.カルトの生態

 ホン・イールはまさしく平和的な半神であり、帝国にその豊穣のカルトの秘密を広めようとした。おそらく同盟国・従属国を結びつけるために、彼女を政治的に用いることにしたのは皇帝だった。ホン・イールはそれに満足していたと思われる。彼女は皇帝の行動を自身のヒーロークエストの目的として使うことにした。実際、ドブリアンを征服した際に用いた行動において、彼女はドブリアン人たちの目的を、彼女の目標達成のための手段として用いていたのである。

 ホン・イールのカルトは直接的な政治力を持たない。ドブリアン君主領のホン・イールの末裔たちは、第6ウェインの終わりにダート戦争でヤノリアーノ・イラート氏族に敗北した。オラーヤ君主領では、ホン・イール一門は「恐怖の夜」の戦いでひどく弱体化し、この女英雄の祖先の司祭位を保持するために領土の支配権を自主的に放棄することを選んだ。この時以来、オラーヤ君主領の支配者はモラリ・ソール氏族の出身の者で占められている。ターシュ王国では、「揺るがすものの寺院」の裏切りによって、ホン・イールのカルトはより融通の利く七母神のカルトの宣教師たちにとってかわられた。

 だが帝国の拡大において、このカルトは目立ちはしないものの極めて重要な役割を果たした。ターシュのルナー王ファージェンテスは、これを簡明な言葉で述べている。曰く、「ジャガイモのパンと玉ねぎを与えれば、その者は一日の民となろう。だがトウモロコシの種蒔きを教えれば、その者は永遠に我が臣民となる」。

 今日では彼女のカルトはドブリアン、オラーヤ、シリーラ、ターシュ、ヴァンチ、そして帝国の穀倉地帯で広く信仰されつづけている。

 カルトの聖職位は主にルナーの芸術家、詩人、音楽家、踊り子から構成されている。“月の踊り子”たちは他では認められない異議表示を行うことを許されている。これはおそらくホン・イールと政治への静観主義をとるカルトへの敬意、そして「芸術の自由」に対する勘酌によるのだろう。しかしこの本当の理由は、彼女がアース・カルトとイェルム・カルトのそれぞれと結びつきを持ち、ルナーのイデオロギーとペローリアやダラ・ハッパの一般住人との関心の相違の溝を埋める者であるからである。だが“月の踊り子”たちは(その独立的なみせかけにもかかわらず)ルナー帝国の後援にまるっきり頼り切りになっており、彼らはルナー帝国が認めるような安全な作品を提供する一方で、「白い月教徒」やその他の異端に対しては常に抑圧的な態度をとっている。

 ホン・イールはしばしば戦闘で奇跡を起こした(「恐怖の夜」のように)が、カルトは戦士を尊ばず、“月の踊り子”が冒険者となるのは稀である。

 ルナー神殿では、ホン・イールはディーゾーラとティーロ・ノーリのカルトと近しい関係にある。彼女のカルトは「七母神の属領地教会」と健全なライバル関係にある。

 カルトは帝国の好むものを好み、憎むものを憎む。実際、帝国は周期による「ルナーの道」に従う者全てを好み、それは混沌の存在であっても変わらない。混沌の存在を含むことで多くのカルトは帝国の敵にまわり、それらは帝国の敵となった。ホン・イール自身は誰に対しても悪意を持たなかった。しかしながらドラゴン・パスのヒョルト人やペントの蛮族たちは尽くカルトに対して妨害を行っている。

 

        

3.世界におけるカルト

 ホン・イール信者の大多数は、通常オリアやアーナールダ、ときにペラなどとの結びつきのもとで彼女を信仰するトウモロコシ栽培農民である。ルナーの影響下にある地方のこれらの女神の中寺院、ときに小寺院にもホン・イールへ捧げる社が存在する。独立したものはほとんどないが、これらの社は本当に信仰篤く奉られており、国家による援助を必要とすることはほとんどない。

 ホン・イールのカルトの中核、“月の踊り子”たちはずっと数が少ない。彼らは牧歌的な田園詩に重きをおいているが、その芸術活動を支えることのできる大都市に集中している。しかし、彼らは収穫期にはしばしば農地へ分け入り、歌を謳い舞踊を舞い、大きな観点から社会の改善を約束して、小作農の信者仲間たちを楽しませ、その手助けをする。

 農地の信者仲間は一般的に都市に住む同教の信者たちを少々おかしい連中だと考えているが、ホン・イールが大地の女神たちと競合せずに協力しあっているところでは、相互に誤解はあっても関係は良好である。

 今日彼女のカルトはドブリアン、オラーヤ、シリーラ、ターシュ、ヴァンチ、そして帝国の穀倉地帯で広く信仰されつづけている。ホン・イールの最大の寺院はドブリアンのロックフォード、グラマー市、そしてリンリディ地方のトーラン市にある。

 ホン・イールの大聖日は「大地の季」「豊穣の週」の「下弦三日月」の日である。各季の聖日は「豊穣の週」の「下弦三日月」である。「下弦三日月」は大聖地では「荒の日」、ドラゴン・パスでは「凍の日」にあたる。

 

 

オリア──Oria。ペローリア地方の大地母神。詳細は“ルナーカルトブック”;「ルナー帝国の神々」と「ペローリア神名録」を参照。

4.入信者

 友好的でないカルトに現在入信しておらず、母親がホン・イールの入信者ならば自動的にホン・イールのカルトに入信できる。

 上記の条件に当てはまらない者は、適切な司祭に20ルナーを献じ、通常の試験に合格しなくてはならない。要求される技能は、〈(任意の自然界の対象の)製作〉、〈舞踏〉、〈植物知識〉、〈捜索〉、〈世界知識〉。

 ホン・イールの入信者は時間の10%と収入の5%をカルトに捧げなくてはならない。

 地域の女祭は信徒の土地に《トウモロコシ祝福》を投射してくれる。

 ホン・イールの入信者は寺院で入手できる神性呪文ならばPOWを捧げてこれを学ぶことができる。また下記の精霊呪文を通常の価格で教えている。

精霊呪文:《魅惑》、《治癒》、《第二の目》、《かすみ》、《活力》。

 

 

 

 

 

 

《トウモロコシ祝福》──Bless Maze。《収穫祈願》 Bless Corps と効果は同じですが、トウモロコシに限定してあるため、トウモロコシ以外の作物については効果を持たないものと思われます。(《収穫祈願》は、特定の作物以外でも限定された効果があります。ホン・イールが完全な穀物の女神ではないため?)

5.女祭

 ホン・イールの女祭は豊穣、忘我、神秘の儀式の指導者である。彼らは祝福し、癒し、予言を行う。ホン・イールの女祭は性別は問われない。アーナールダの女祭である者は少なくとも5年のあいだ入信者でなくてはならず、少なくとも一人の健康な子供を産んだことがなくてはならない。候補者は下記の技能を50%以上持たねばならない:〈(任意の自然界の対象の)製作〉、〈舞踏〉、〈植物知識〉、〈捜索〉、〈世界知識〉。また少なくとも10ポイントの神性呪文を持っていなくてはならない。また女性ならばPOW×3、男性ならばPOW×1以下を1D100でロールすることで表される試験に合格せねばならない。

 さらに司祭位に空きがなくてはならない。通常年老い引退する女祭が新女祭に聖職を授ける。新女祭は数季の徒弟奉公の後、その後を継ぐ。

 ホン・イールの女祭は収入と時間の50%をカルトに捧げるだけでよい。女祭は帝国の管理の適切な指示に従う義務を負う。彼女らは信徒たちへ福祉を提供し、信徒とその穀物を呪文を用いて祝福せねばならない。代わりに、女祭は困難の際には保護と援助を求めることができる。

 女祭は信徒の収穫の20分の1を寺院や社、自身のために受け取ることができる。超過した分は凶作の際に供出するために貯蔵されるか、帝国財務局へ保管のため提供される。

 ホン・イールの女祭は下記の神性呪文を学ぶことができる。

一般神性呪文:《カルト精霊支配》、《神託》、《破門》、《延長》、《精神結合》、《聖別》、《霊視》、《呪文伝授》、《ホン・イール礼拝》。
特殊神性呪文:《トウモロコシ祝福》、《ノーム支配》、《月光の実り》、《四肢再生》。

 

 

ホン・イール 特殊神性呪文

《月光の実り》 Moonripen   1ポイント
半径10m、1年、複合可、再使用可

 この呪文は春の第一日目に投射しなくてはならない。芽吹いたトウモロコシに太陽の力を与え、カビや腐れ、病害なく生育するようにする。月は病害虫を防ぎ、最も豊かに実りを迎える。1ポイント毎に効果半径は10m拡大する。他の作物に投射した場合、麦角中毒と腐れを引き起こす。
 麦角中毒を起こしたトウモロコシを食べたものは、CONに対してロールを行い、狂気効果表にしたがい結果を求める。

(訳注:ディーゾーラの《月光の実り》と違いがありますが、ホン・イールがトウモロコシに限定した呪文と考えてください。)

 

(※訳注:原文では提供呪文に Initiation なる一般神性呪文が記載されていましたが、一般神性呪文にないものなので間違いと判断しこれは省きました。)

6.下位カルト

復讐精霊

 農民の信者がカルトの制限に反した場合、次の収穫は《月光の実り》の呪文に記されている麦角中毒症の影響を受ける。重大な違反の場合には、この効果は七年間、あるいは永久に続く。

 トウモロコシを栽培していない構成員の場合、夢の中に赤い外套をまとい赤い舞踏用の靴を履いたハッグが現れる。犠牲者はPOW25の精霊に攻撃される。これにうち負かされると、その者は靴の贈り物を受け、それを履くことになる。軽微な違反の場合は、疲れ果てるまで踊りを強制する狂気精霊に憑依された状態になる。狂気精霊に取り憑かれその状態が続くのは2d10時間である。一回だけの攻撃ですむ確率が2/3ある。それ以上の攻撃は、音楽の調べによって引き起こされる。

 重大な過ちを犯した場合、精霊はその者を占有し、疲労で死に至るまで踊りを踊らせる。これを防ぐには靴を脱がせなければならないが、それには不信心者から精霊を祓う必要がある。

宇宙の踊り手

 ペントの祈祷師は、シェン・セレリスが倒れた後、「恐怖の夜」と「大いなる盟約」までの間に、慎ましい娘の姿をとった西方の恐るべき魔がやって来て、淫猥な踊りによってラ・ウンガリアントからユ・カルグザントを奪おうとしたことをぼんやりと記憶している。この魔は“宇宙の踊り手”と呼ばれ、“敗北の赤き魔”の一つだとされている。彼女は信者に《狂気》の呪文を提供している。

 

 

 

 

麦角中毒──ergotism。麦角の混入したパンなどを食べたり麦角を多用しすぎて起こる胃腸障害と知覚鈍麻。

 

7.友好カルト

アーナールダ

 アーナールダは《アーナールダ礼拝》を提供する。しかし、アーナールダ寺院のほとんどは、圧倒的な力によって強制されない限りホン・イールのカルトを拒絶する。

フラマル

 種子の父は《実り》を提供する。

赤の皇帝

 月の息子は娘に《市民支配》の神性呪文を提供する。

 ホン・イールは下弦三日月のルーンをレシーラ、“母たちの鎌持つ女神”と共有している。レシーラは赤の女神の前世の一つである。彼女はメルニッタの都をアナクシアル帝の時代に保護していた。ホン・イールの信者は通常のルールにしたがって「審問官」となることができる。

七母神

 彼らは《ルナーエレメンタル支配》を提供する。

イェルム

 太陽の神は《雲海拡散》を“月の踊り子”に提供する。

 

 

 

 

 

 

 

 

レシーラ──赤の女神の仮面の一つ。「ペローリア神名録」参照。

8.その他

ルナーの周期魔術

 赤の月の相の変化は世界における女神の魔術の力に影響を与える。精霊魔術と魔道はその力を神ではなく自身から引き出すため、影響を受けない。ルナー神性魔術は特に断りの無い限り以下の制限を受ける。

相   効果
新月/暮月 コストが1ポイントの呪文しか使えない。呪文の複合はできない。
三日月 コストが2ポイントの呪文まで使える。呪文の複合は二つまでしかできない。
半月 全ての呪文を使える。複合も自由。
満月 全ての呪文を使える。複合も自由。残照呪文は効果時間が2倍になる。

 
グローライン

 グローラインはルナー帝国のほぼ全域を覆う魔力の教会である。この中では1年中満月の状態が続いているため、ルナー魔術の効果は常に最大である。

ジン

 ペローリア人はビールを飲まない。河川流域地方では、アラック(米酒)が好んで飲まれる。属領地地方では、トウモロコシのマッシュから蒸留したあまり上等でないスピリット、「七母神の頽廃」とも呼ばれるチッチャ酒が好まれている。ドラゴン・パスでは、無名の絨毯商人フラヴィウス・ジンニクスにちなんでチッチャ酒は「ジン」として知られている。ジンはアンゴスツラ皮の苦みで香味をつけられ、一般的に強烈なパンチ以外には勧めるべきところのない飲んべえのための酒と考えられている。ジンはトウモロコシの女神ホン・イールと関わりが深い。実際、口さがない部外者たちはジンの飲酒をカルトの静観主義と忘我のトランスと結びつけている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満月の状態が続く──魔術的に満月と同じ状態で維持されているということで、おそらく赤の月は満ち欠けしているものと思われます(さもないと「原聖地で下弦三日月の日」が無くなってしまう)。

ジンについては、“ジオ亭通信#7”;「それいけ!グローランサ探検隊 ドラゴン・パスの酒事情」も参照にするといいでしょう。

アラック──近東地方でヤシの汁・糖蜜などから作るラムに似た強い酒のこと。ここではいわゆる「日本酒」のようなものを指しているのでしょう。

チッチャ酒──南米・中米の発酵させたトウモロコシから作るビールに似た飲み物。

アンゴスツラ皮──南米の柑橘類の木皮で解熱強壮剤。




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