東方世界メモ

これらのメモは概略で、多くの憶測、謬見が含まれている可能性があります。

文化圏

ご存知の通り、東方世界はいくつかの区域に分けられていますし、共有する世界観及び文化を、また地方色の大きい文化を融合させています。以下に挙げる地域分割は大まかなもので、これらはさらに小さな小部分に分割が可能です。神秘主義は共通していますがアプローチの違いが地域色を出しています。

かつてグローランサの中心世界はリング状の大河に取り巻かれた一つの大陸で、中央にヴィセラ神話でいうイマドサラシュ(Imadsalash)、神知者のいうスパイク(くさび)と呼ばれる山が聳え立っていました。この大陸を南北に横切る形で山脈がありましたが打ち続く沈没で陸地は分割され、この山脈の残りが後のシャンシャン(ヴィセラ流に呼ぶとセンサンSensan)山脈となり、そして大河が流れ込んで海となりました。

人間

ヴィセラ

上代のクラロレラ(黄色人)発祥の地です(さらに東方には曙の門ゼイエラがあります)。東方世界全域の中心であることを主張していて、またそれに対応した神話を備えていますが(グレッグ・スタフォードの最近の仕事)、これらは上代および神代のもので、どれだけ周辺地域や小規模の居住地の住民に親しまれているかは怪しいものです(ペローリア三部作のGROYやエンテコシアドと同じ)。この国は現在の他の周辺地域と比較すると、英雄世界に近いですし半ば魔法的です。つまり、定命の人間が住む所ではないわけです。

東方諸島帝国

第一期のジェソロ(Jesolo)の帝国、第二期の黄金モカトウの帝国、第三期のハラガラ共和国と、これらの圧倒的な海軍力と英雄を得た島が東方諸島を支配してきました。これらの島では、ヴィセラの神話では反神アヴァナプドゥール(Avanapdur)の魔術として忌避されていたのにもかかわらず、「覚醒の魔術師」(Awaking Magician)達や夢幻魔術(Dream Magic)が神秘主義の一大派閥として場を占めています。しかしヴィセラの「高き神々」への神話は弱体化しているとしても失われていないようです。

ヴォルメイン

彼等の孤立政策のゆえにその色彩魔術や、文化の特色、世界観などはほとんど知られていません。しかし、ネンデュレン(Nenduren)の学派など上代から伝わる神秘主義はヴォルメインでも根を張っています。やはり戦士階級が強力であることは予想可能です。

ヴァルカロー派

アンボボンベ(Ambovombe)など、東方諸島北西(ヴォルメインの南)で勢力を張るマルキオン教の一派。彼等は西方からの「魔道」の一派なので、東方世界の目で見ると当然反神の支配下にある存在と考えられています。

ジェナーテラ大陸とヴィセラ大陸の連結地帯

クラロレラ

クラロレラ帝国では龍魔術が隆盛で、これはおそらくヴィセラ文化からいえば、異端です。ヴィセラ中心の価値観からすれば、中央集権的な支配体制、官吏の龍魔術と神秘主義が融合して、独特の世界観を形作っています。しかしクラロレラ人の見方からすれば、他のヴィセラの国々が龍の教えから離れていったのに、この国だけが古の教えを保持しているのだということです(どちらが正しいのかはもちろん分かりません)。また代々の龍帝達、デンダーラ、ゴゴーマ、イェルム等ジェナーテラとは異なる名前で信仰されている「神々への信仰」(Theism)もヴィセラと異なる展開を見せています(グローランサの神々に掲載されています)。

テシュノス

この国はヴィセラ系統の言語とは異なる言語を使っていますし、別系統の住民が多数住みついており(ローパーLoper(大股の意、上代にメリブ島に住んでいた瞬間移動をする?獣に乗り、青い月を信じる民。ザランスタージ(Zaranstagi)とも呼ばれる)やテレオス系統の民)東方世界とは異なる神話(ガラスの都の物語など)を多く持っています。天体や火の信仰も強力です。神秘主義の学派はこれらに比べれば比較的弱体です。しかし共有する神話もあり、セケヴァーの侵攻もその一つです。

他の種族

スンチェン人

ラツキ(Ratuki)(鮫の民)はタマンジャーリ(Tamanjary)という今日のヴォルメインとヴァルカロー諸島の間にあった島に住んでいたのですが、この島は沈められてしまいました。今では海賊で生計を立てているようです。クラロレラにいるオルカ(Orca)(シャチの民)族はザブダマー族と戦う力を得るためにトルンヒン=ダー(Thrunhin Da)(ハランターラ)を信仰しています。シャンシャン山脈には数多くの姿を変える民が住んでいるようですが、彼等は新龍輪に利用されていました。伝説のドラゴン・スンチェンの神話(クラロレラの異端思想。龍の皇帝達がこの一族に由来するという説)を利用したらしいのです。私見ですが、彼等はハイキム、全ての獣の祖先である龍の神話を利用したのだと推測できます。

エルフ(アルドリアミ)

エルフはテシュノスを主として、森のある所にはいますし、人間とは比較的友好的か、少なくとも無視する態度を保っているようです。彼等は文化的には他のエルフと同じようです。

キート

半人半鳥の民、翼の代わりに手が生えています。ジェナーテラに住んでいるダック(あひる)と近縁です(しかし鳥の種類はあひるに留まりません)。かつてはトガロ洋にあった南東大陸に住んでいましたが、海の神々と対立して国を沈められてしまいました。彼等の避難についての一大叙事詩があります。夢幻魔術を好むようです(ちなみに彼等の英雄の名前はヒューイ、デューイ、リューイです(嘘))。

ザブダマー族

この魚人族は他の魚人と異なる由来をもっています。カハール海の主である龍ハランターラ(Harantara)を母とする彼等の神話については MISSINGLAND に載っています。そしてオルカの民と戦います(この矛盾についてはスンチェンの項を見て下さい)。

ドラゴニュート

クラロレラ「驚異の島」及び東方諸島のある島に住居があります。おそらく彼等は蛮族で超王を戴いていませんが、ひょっとするとクラロレラの体制に何らかの関係があるのかも知れません。

反神の種族

アンディン(Andin)族

「邪悪な」鬼(demon)の種族。彼等の王は反神バンダンです。

エデ(Ede)族

小人の種族。

エルスィーネス(Erseenes)族

悪霊の民。頭目は女神アアル(オールス・サーラの母)

イラゲンデール(Iradgenderi)族

姿を変える種族。

ドワーフ(モスタリ)

ドワーフはヴィセラ神話では西方の論理の民、つまり反神の一派と見なされてどうやら嫌われているようです。ババディ(Babadi)(金属の民)。

チューランプール(Churenpurese)族

ヘレスプールの乱で天界から落ちた堕天使の種族。過去の記憶から世界を憎んでいます。

神秘主義について

師匠達と弟子達

神秘主義者達は師匠とする者から教えを受けます。この系統図は東方神話を理解する上で非常に重要です。ヴィセラにおける彼等の始祖はオーデュレン(Ooduren)ですが、クラロレラやヴォルメイン、テシュノスではおそらく異なるでしょう。

神々にはこの関係を持った者としてオーデュレンと星の創造者コルーデル(Korudel)、ヴィスと反神ドグサール(Dogsalu)、ゴヴメラネン(Govmeranen)と戦神エネヴァール(Enevar)、ヴェン・フォルン(Ven Forn)と極星ケンダラミン(Kendaramin)などがいます。

神代、三人の賢者(ネンデュレン、ラーン・ハサマドール(Larn Hasamador)(仏教?)、マシュナサン(Mashunasan)(ヨーガの教え?))の競争(これは後代モカトウの三人の賢者とは異なる)の中、ヴィセラ神話の中でもっとも重要な賢者はマシュナサンです。彼は世界魔王オールス・サーラを「解放の稲妻(ジェレーマ・マドゥーン(Jerema Madoon)人格的原理。神ではない)」で消し、西方の蛮族の神カハールを啓蒙してハランターラと結婚させ、アヴァナプドゥールの嘘を見破って「夢の世界」に彼を追放しました。また彼の慈悲の力で夢幻魔術が現実世界でも意義のあるもの(オレン・パロンド(Oren Parond))になりました。

他の地方にも重要な賢者がいますが、彼等はみなヴィセラ中心の世界観からすると三人の弟子です。これにはクラロレラの賢人ニャング=マオ(NyangMao)(ジャイナ教?)やキートの賢人ケレンデック(Kerendek)、ヴォルメインのエンローノ(Enrono)などが含まれます。またクラロレラ龍帝達(ラマ教?)も広義ではこれに含まれます。

神々と反神達

神秘主義とは、瞑想やその他の手段を通して時間空間を越えた永久不滅の存在(アトリリス(Atrilith)(全能)やデュラプデュール(Durapdur or DuraPradur)(超越))と一体化することを目的としています。この目的に合致しない神々が反神と呼ばれます(しかし物質的世界ではしばしば神々より強大な力を得る事が出来ます)。神話の中には神秘主義の師匠に弟子入りしたり調伏されたりして反神を辞めた存在がいますし、逆もあります。しかし神話では彼等の城が北の国(なんだかトールキンの神話世界の設定に似ている?)や西の国(正確にはシャンシャン山脈を境界とした向こう側)や地獄にあると定められているようです。また、海の神々も陸の民から反神と目されることが多いようです。

夢幻魔術

Tales of the Reaching Moon17号などに出てきたアイデアで(ちなみにグレッグ・スタフォードのアイデアではありません)、この世界の裏側にそっくりそのまま影の世界があるという考え方で、影の世界からあまり力を引き出すと影自体に呑み込まれてしまうそうです。魔術の形式としては精霊崇拝に似ているようですが、強力で東方諸島でしか使えません。

格闘技

肉体の蔑視は原理主義においてしばしば良く見られるものですが、神秘主義の一派、ダルジャ・ダナド(Darja Danad)は肉体を強化することで精神をも高めることが出来るという説を出しました。彼は「解放の稲妻」の神カバルト(Kabalt)の信仰を広め(中国拳法で言う発剄のようなもの?)、後代に行くほど神秘主義と精霊崇拝、神の信仰、魔道などとの境界は融和的(折衷的?)になっていったのです。

また神々も格闘技の教えを取り入れるようになっていったと推測されます。このような神の信仰には反神も含まれてしまいます(ヘレスプール(Herespur)やアコルガット(Akorgat)など)。肉体は堕落しやすいからという考えだと思います(コルーデル(Korudel)は精霊崇拝を取り入れて星の世界を作ったと言われます)。

神の創造

ジェナーテラにおけるナイサロールやジストル(Zistor)と同じように、時々上代の東方世界では神の創造(アヴァナプドゥールなど)が企てられたようです。彼等はみなある意味で宇宙の均衡を崩す存在でした。

循環紀(サイクル)

これらのサイクルはすべて大きな戦い、及び善と神秘主義の勝利、反神達の敗北で終わります。いくら悪いことがつかの間栄えても、これは世界の摂理なのです。

創造紀

十の高神達(神知者達はこれをオーランス信者の「天宮の神々」や、ダラ・ハッパのグローランテイと同視しました)が生まれました。海の女神と陸の女神の賭け試合で海と島々が作られました。邪龍ドグサールが魔法のほら貝でヴィス(神知者のいうエーテル)に調伏され、女神ヨセナーラ(Yothenara)と結婚させてもらい、この繋がりからゴヴメラネン(神知者のいうイェルム)が生まれました。神知者の分類でいうと緑の時代までです。

高神紀

ヴィスの支配。反神達が世界の支配を企み、魔法のほら貝を盗賊の女神セドサールに盗ませたのです。反神達がほら貝を使ったため、神々の都が陥落し、ヴィスは天界に逃れました。ヴィスの心から生まれた力の神エネヴァール(Enevar)は反神の一族でありながら叡智を知るゴヴメラネンの所で修行し、反神の頭目ケルターリ(Keltari)の弱点を教えてもらいました。反神達は恐怖して溝を掘り、溝が海に、陸が島にまでなってしまいましたが役には立ちませんでした。太陽の時代。

神紀

ゴヴメラネンの支配。アアル(Arlu)女神が世界の魔王オールス・サーラを産み、彼は三つの世界(天界、地界、地上)を支配しました。オールス・サーラは一時、賢者ネンデュレンに調伏されましたが、魔王は魔法の仮面を手に入れてネンデュレンを倒してしまいます。結局彼を殺したのはマシュナサンの「解放の稲妻(ジェレーマ・マドゥーン)」でした。また、クラロレラ、ヴォルメイン、テシュノスの繋がりは海の神々に分断され、これらを治めていたオスデロ(Osdero)=メトゥサイラ(Metsyla)皇帝が溺れました。

亜神紀

神知者のいう嵐の時代と大暗黒? オールス・サーラの戦乱の後、東方諸島ではエレメントの神々の子供である亜神たちが集まってサーラの残党狩りをしました。いわゆる「幸せな征服」(Happy Conquest)です。しかし、サーラの僕であるタリ(Tali)たちは逆襲に転じ、彼らの新たな主となったアヴァナプドゥール(Avanapdur)がひそかに手を貸しました。これが「残虐なる戦争」(Atrocity War)です。人間達によって創造された夢の神アヴァナプドゥールは、配下の亜神ヘレスプール(Herespur)を通じて天空の暴君アコルガット(Akorgat)、ホワントゥーの主セケヴァー(Sekever)などに諸国を攻め取らせました。黒い太陽が天に昇り、天界から都市チューランプールが墜ち、山が爆発しました。アヴァナプドゥールはこれらの配下の亜神たちを自らの本拠で倒す芝居を演じて人々を欺きました。この嘘を見破ったのはマシュナサン(Mashunasan)で、彼を夢の世界に追い払いました(これがおそらく東方世界でいう宇宙の盟約?)。そして彼を信じた民の陸地は沈みました。

人間紀

灰色の時代? 呑み込む者ジャナディ(Janadi)(彼はかつてオールス・サーラの配下でしたが、ばらばらにされました。シルマリリオンでいうサウロンとモルゴスの関係?)は武道家ダルジャ・ダナド(Darja Danad)に肉体を「稲妻の戦い」(War of Bolt)で滅ぼされましたが、新たな身体を人間に創ってもらい(ナイサロールや赤の女神はこれの真似?)、英雄達と戦いました。

クラロレラでは、ヘレスプールから格闘技を教わったセケヴァー(Sekever)がテシュノスとヴォルメインを攻撃していましたが、アヴァナプドゥールがマシュナサンに嘘を見破られて追放されたあと、ダルジャ・ダナドの弟子である武道家たちは反攻に転じました。セケヴァーは龍帝ヴァヨビ(Vayobi)に殺されました。

ジャナディは最終的に北の反神の本拠地ソルトゥムで英雄達に都とともに滅ぼされました。生き残った反神達は山を越えて西の世界に逃げ込みました。(後に魔王バンダンは女神アアルと仲間割れしました)。

第一期

パマールテラの海の反神(かつてキート族と戦った)デバデイ(Debaday)が海の放蕩者にして英雄ジェソロと争い、殺されました。ウェアタグ人とこの時代は友好的で取り引きをしていました。チューラン(Chulan)同盟が海を支配していました。クラロレラでは皇帝ヤヌールが統治していました。

第二期

モカトウ(Mokato)帝国とその三人の賢者の君臨。モカトウ帝国の繁栄の終わりは神の命令に忠実に従うことによって行われました。クラロレラの賢者シャン=シャ(ShangHsa)は転生の術を用いてEWFに、それからセシュネラに生まれ変わりましたがその過程で堕落し、反神になってしまいました。その結果、クラロレラ、テシュノスでは神知者と新龍輪が君臨しましたが、土着勢力の反攻で没落しました。また、大閉鎖で交通は遮断されました。

第三期

ペントの族長シェン・セレリスはクラロレラ人の拷問の中、邪神ゾラーシ(Zolathi)(もしくはドラーシ)に誘惑され、反神になりました。彼はクラロレラとダラ・ハッパを含んだ大帝国を一時ジェナーテラに建国しました。しかし西方の赤の月に敗北しました。

また近年、ドーマルの開放でハラガラが海軍国として勃興しました。

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