ウズをプレイする

〜トロウルを演じるためのいくつかの注釈〜

翻訳:まりおん

当記事は、Mark Geleotti 氏の許可を得て、Unspoken Word 誌 別冊「UZ : The Trolls of Glorantha」の一部を訳出したものです。

なお、「UZ :……」はプレイスペース広島様から通販可能です。

 

 ウズはグローランサでも最も人気のある、冒険向きの異種族のひとつだが、ウズのキャラクターを単なる強奪者やコミック・リリーフとしてプレイする事態に陥りやすい。ウズの文化や生き方、社会にはたくさんの側面があって、ときには――特に、異なる社会(人間社会のような)へ冒険に出るのならば――ウズのヒーローを使ってハイライトを当てることに価値はあるだろう。

 

暗黒とは光が無いことではない

 グローランサの物理現象は我々の世界とはかなり異なっている。「暗黒」や「冷気」は、「光」や「熱」と同等のエレメントの諸力であり、光や熱が無い状態を指すのではない。“暗黒を発”したり、“冷気を発散”することもできるのだ。

darkness.jpg (5191 バイト)曙や宵の違い――現実世界では、光は自ずと闇を払うが、グローランサでは暗黒は光に“抵抗”し、曙の中でも闇がなかなか去らず、宵にはわずかに闇が浸食してくる。

darkness.jpg (5191 バイト)闇の季には「光」と「炎」は少し弱く、火の季には少し強くなる。ゲームに影響を与えるほどではないが、その雰囲気を演出するとよい。

darkness.jpg (5191 バイト)もちろん、四季は年の中で異なる神々の相対的な力の差によって生じる。また、夜もそうである。ゼンサ(訳注:夜の女神)は火の季には支配力を弱め、闇の季には強める。一年で最も日の長い日と短い日は、イェルムとゼンサの大聖日になっている。

darkness.jpg (5191 バイト)「光」と「炎」は、ウズの聖地やウズの支配地の深い闇の中では力が弱まる。つまりこれらは、ウズの聖地に異邦の敵神が押し入ってきているのだから!

ダークセンスは視力ではない

 ウズの“ダークセンス”(訳注:ソナーなどを使ったトロウル固有の知覚能力)は普通は「視力」として扱われ、捨ておかれている。しかし、人間が視力を使っている事全ては、トロウルにとっては異なって“見え”ているのだ。ウズのダークセンスは確かに特殊な能力であり、プレイに多大な影響を与えるだろう。

darkness.jpg (5191 バイト)ウズが近づいてくる人間をみる場合、ウズはその人間を“見る”のではなく、その表面(皮膚)と骨格をほぼ同時に“感じて”いる。これはつまり、変装した人間でも、その人物を知ったウズにはだいたい同じにみえるということだ。ウズは表面の特徴以上のものをみているのである。

darkness.jpg (5191 バイト)トロウルたちはいかなる意味においても人間とは異なった美的感覚を持っているが、ウズはよく“目が見えない”ことに留意せよ。美術品はダークセンスで判定されるのだ。ほとんどのウズにとって、絵画は無価値であり、彫刻が好まれる。他のものに対する評価も違っているかもしれない。黄金や銀に価値があろうか? ウズはその輝きに価値を置かない。彼らにとっては、鉛の方がダークセンスでは実際により好ましく感じられるのである。

darkness.jpg (5191 バイト)ダークセンスでは視覚では不可能なことも可能だ。限定されてはいるが角を曲がった向こうを伺うことができ、ある人物の胃がいっぱいかどうか、女性が妊娠しているかどうか、薄い箱の中が空かいっぱいかを知り、非常に厳密な距離を測ることができる。ウズのソナーでどんなことができるのか考えるには、クジラやコウモリのソナーに関する本が非常にためになるだろう。

ウズは目がよく見えない

 ウズの貧弱な視力が問題を生じさせることも多いだろう。ウズは人間の書いた書物や地図を読むのに難渋する。ダークセンスではその材質を正確に知ることはできるが、紙に記されたインクを認めることはできないからだ。ウズは人間の言葉を読むことができない。代わりに、ウズは高い教育を受けた読み書きのできるエンロ(訳注:トロウルキン)を所有する。そうしたエンロが自分自身について考え始めるのも無理はなかろう!

 また同様に、ウズは色を認識できない(赤色を除いて)。アーガン・アーガーの商人がひどい格好をしているように見えても、彼らは衣服を色ではなく材質で選んでおり、そのため様々な色彩を使った服を着ているのかもしれないということを考えてみる必要がある。一方、色ではなく服の材質を観るウズたちにしてみれば、人間たちは信じられないほどみすぼらしい格好をしているように思えるのかもしれない。

 これらはみな、隠蔽を施す際に影響する。なぜなら、彼らは自然と自分の感覚で考えるからだ。ウズの狩人や戦士が忍び寄るのには非常に長けているが、身を隠すのは得意でないのはこのためである。ウズは、通常人間たちが何を探すかが分からないのだ。彼らは視力でどう見えているのか確定する技術を持たない。だが逆に、人間たちは普通、ダークセンスからどうやって身を隠すのかよく分からないという事もいえるだろう。枝と芝で注意深く作られた落とし穴も、ウズにはダークセンスによって表面の傾きや材質からひどく場違いなもののようにみえるかもしれない。

ウズは音が嫌い

 ウズは鋭敏な聴覚を持っており、彼らの生活はこれを反映している。多くは騒音を嫌うのである。人間の住む地入ったウズは、人間たちの騒々しい生活に愕然とするだろう(特に人間の都市に乗り込んでしまったりしたら)。騒音は必ずしも苦痛でないが、気が散ることである。ナレーターは、人間が無思慮に立てた騒音のためにウズの集中が切れたり、いらだったり、混乱したりする状況を考えることができるだろう。

ウズは動物に嫌われる

 140キロの雑食性生物がそばにいれば、ほとんどの動物は驚くものだ。人間の土地にいる一般的なウズは、唸る犬、逃げまどう馬、恐怖におびえる家畜などに絶えず直面することだろう。人間のパーティに加わったウズは地域のコミュニティにとって恒常的な面倒の種となる。ウズは全ての動物を動揺させるからだ。ウズたち自身は、ほとんど家禽には注意を払わない。彼らは犬や馬やら何やらは、臭くて不快な動物で、なめらかな外皮の甲虫たちや頭のよいムカデたち、賢い蜘蛛たちなどには及びもつかないと考えている。

恐怖について

 ウズは人間たちの持つ恐怖症とは無縁だ。結局、彼らは完全な暗黒の中に生息し、狭い洞窟で生活し、服の下に虫を這わせる種族なのだ。

 ではウズが恐怖するものは何だろう? 一般的な恐怖症の対象として考えられるのは……太陽、光、熱と炎。母親、(雄にとって)姉妹や女性一般。開けた場所、空の見える場所。動物。雨、稲妻、雷鳴、嵐。大きな音、突然の音。見知らぬ魔術。ウズ以外一般、などなど。

 例えばこんなこともある。ウズは皆、空にある「炎の死」(訳注:太陽のこと)が滅びと衰退の原因となったことを知っている。従って、美しいウズが太陽光の下に出ていくのは陽光の惨害の危険を冒していることになる。魅力的なウズのヒーローたちは、日中の光の中に出ていくことで自分たちの容姿を危険にさらす(母親たちがそうしろ語るように)。またダメなウズはイェルムの炎の目の下で地表に出ていこうとしないのである。

 エンロたちは、もちろん、全てに怯える。

ウズは腹ぺこ

 これは自明のことだが、平均的なウズがどれほどの時間と努力を傾けて飲食物を口に運んでいるかという事を考えてみれば、肝を潰すかもしれない。たくさんのウズたちがニンゲンたち(訳注:hoomans。ウズが人間を馬鹿にしていう呼び方)のパーティに加わるのは不思議ではない。考えてみれば、トロウルたちには天国なのだ。

darkness.jpg (5191 バイト)殺したものは全部食べてもよい。

darkness.jpg (5191 バイト)人間たちのまわりにはうなるほど食べ物があるのに、彼らはその多くを食べようともしない――「その魚の頭は喰わないのか? 俺が喰っていいか?」「このエルフを喰いたい奴はいないか?」「ジャガベア(訳注:混沌の怪物)は毒じゃないぜ。見てな」

darkness.jpg (5191 バイト)金を稼ぐことができる。それで食べ物が買える。

darkness.jpg (5191 バイト)この報償を争うべきトロウルはまわりにいない(あるいは、ほとんどいない)。

 ウズが人間と上手くやっている所では、食べ物が得られるという理由だけで、多くが傭兵や労働者、日雇いなどとして働いているのをみることができるだろう。トロウルの傭兵団(ターシュのトロウル兵団のような)に対する報酬の一部は追加の食料である。トロウルたちは食料のあまりを出したり蓄えたりはしない(そうする必要がないから)が、それを必ず報酬としてほしがるのだ。

 忘れてならないのは、何か役にたたないものがあって、それが美味しいなら、ウズはそれを食べてしまうということだ。実際、賢いウズはそれを利用して食べ物を得る機会をつかむ――この死体を隠す必要があるのか? ムシャムシャ。 余計な装備があって、捨てなくてはいけない? ムシャムシャ。(訳注:トロウルは鉄と火以外は何でも食える)

ウズのママはあばずれ

 残忍で意地悪く粗暴なカーグの息子も、部屋にその母親が入って来れば、苛烈な支配者からおべっか使いの奴隷根性な崇拝者に一変してしまう。これはそのウズが弱いというわけではなく、生まれたときから母親の気まぐれに服従するように訓練されてきたためである(訳注:ウズは生殖能力が低いため、女性優位で完全な母系社会を形成している)。人間のいる場でのウズは、故郷とは全く異なった行動を取るだろう。そこで、ウズのヒーローが自分の家族のところに戻れば“皆殺し”クラッグ/“敵喰らい”クラッグから、“床に頭をこすり付けてシクシク泣く”クラッグになってしまうかもしれない。

 ウズの母親とは冷酷で、陰謀家で、自己中心的な生物であり、息子たちを送り出して殺し、家族を支配し、完全な服従を要求する。これは彼女らが子供を愛していないわけではない。彼らは母親であることが支配者であることと等しい社会の一部であるということを意味しているのである。

ico_cat3.gif (191 バイト)[一つ前に戻る]

[What's New] /  [いんふぉめーしょん] / [よくわかる?グローランサ] / [Art Gallery]
[灰色卿らいぶらり] / [既刊新刊] / [らんだむとーく] / [りんくす] / [BBS]

mailto.gif (852 バイト) Webmaster: まりおん