Barbarian Adventures レビュー


著者:Greg Stafford と仲間たち
発行社:Issaries Inc.

◆はじめに

 日本でのヒーローウォーズ翻訳サプリメント・第一弾として予定されている「Barbarian Adventures」が米国で発売されました。日本のゲームショップで扱っているところはまだ少ないと思いますが、このサプリメントがどのようなものか、簡単にレビューをしたいと思います。

 なお、このレビューにはまりおんの独断と偏見が含まれておりますので悪しからずご了承下さい (^^; 。

◆一言で説明すると?

 サーター地方でナレーターをするためのソースブックです。前文に「一部はプレイヤーが読んでも良い」と書かれておりますが、基本的にはナレーター向けのシナリオアイデア集と考えていいでしょう。

 英雄戦争が開幕する前の状況、それから氏族社会での「日々の冒険の扱い方」が解説されています。

◆詳細

[表紙]:

 ドラゴンの骨?の前で怪しげなポーズを取るドラゴニュートの図
 気になるのは左隅の岩の影にいる小さな黄色いトカゲですが…エレキング?(違)

[Barbarian Living]:

 本についての概説・序文です。

[The Kingdom of Sartar]:

 サーター王国の歴史と部族の解説。

 サーターの24の部族(ダック族、狼人間のテルモリ族、荒野の遊牧民ポル・ジョニ族を含む)と、南方ヴォルサクシランドの3部族、近年滅ぼされた部族について解説されています。

 また、「街の同盟」についてや、旅の習慣(氏族の領土に入るときのしきたり)、「サーターの宿について」(実はサーターには宿という概念が無いらしい…)が述べられています。

[Player Resources]:

 キャラクターには「縁故」という能力がありますが、それを使ったときに頼れる支援先(コネ)についての情報です。
 家族、血族(bloodline)、氏族のうち誰に頼ったらいいか、その代表的な能力値、サンプルとして族長 Domast Longear のステータスを掲載。

 また、「氏族の輪」というのはどういったものがあるのかという説明、それから自分のカルトに頼ったときの典型的な司祭様の能力値なんかもあります。

 特殊な支援先としてあげられているのは、部族の輪と、英雄たちです。

 英雄たちとして、反乱のアーナールダ女祭“ささえる女”エンタリオス(Entarios the Supporter)、ウィルムズカークの豪商“黄金の”ゴッティ(Gold-Gotti)、放浪司祭“自由の息の”イスカルス(Iskallus Breathes Free)、ドラゴン知識の権威“ルーンの友”トスティ(Tosti Runefriend)のステータスが示されています。

 また、有名なジョンスタウン図書館の利用法(判定方法含む)などについてもコラムがあります。

[Narrator Resources]:

 ここからはナレーター向けの情報ですのでプレイヤーは読んじゃダメということになっています。
 さまざまなNPCのステータスが掲載されてます。

(1)ヒョルト人の戦の群

 氏族のパトロール戦士とリーダーのステータス。戦士の属するカルトによる味付け方法なども付記。
 サンプルとして、ヘラーの戦士からなるヒーローバンド「嵐の雄羊」

(2)ターシュ人の戦の群

 ターシュ人のパトロールの戦士と近侍武士のステータス。
 ターシュでオーランスの代わりに崇められている(こともある)忠実な嵐ドーブルドゥン(Doburdun the Loyal Storm)の魔術キーワードもあります。…でもこの神様2つしか神力ないよ?

(3)ルナー帝国軍

 帝国本土から出てきた帝国軍の連隊・部隊をいくつかを解説しています。

矢じり騎兵隊(Arrowstone Cavalry)
 軽装騎兵隊。ボードゲーム「ドラゴン・パス」のユニットとしても登場してます(たぶん…)。
 騎兵隊員と指揮官、部隊の守護霊のステータスを紹介。

緑柱石方陣連隊(ベリル・ファランクス) (Beryl Phalanx)
 重装歩兵部隊。ルナー・ハートランド軍のファランクス連隊です。
 ホプライト兵、前衛兵、守護霊のステータスを紹介。

・ラスダッグの獅子(Lasdag Lions)
 ペランダ地方(中原北西部)の軽装歩兵連隊。獅子の皮をかぶっているそうです。
 兵士、群の長、守護霊のステータスを紹介。

・鋭きナーザの魔術学院(Natha the Edge Magical School)
 赤の女神の司祭たちによる魔術連隊です。
 司祭、大司祭、守護霊のステータスを紹介。

・雷鳴湿原投石隊(Thunder Delta Slingers)
 北方はエオル地方から来た軽装歩兵連隊。ボードゲーム「ドラゴン・パス」のユニットとしても登場しています。
 投石兵、狩りの長、守護霊のステータスを紹介。こいつら、一般兵がムチャクチャ強いんですけど……

(4)銀の炎(Silver Flame)

 ルナー帝国の地方貴族が率いている傭兵部隊の紹介。3つの部隊からなります。正規軍ではないので、敵として使いやすいのでは?と書かれています。一般兵、指揮官、守護霊のステータスを紹介。
 彼らの信仰するオロゲリアの英雄カルト、タラール・クヴィンダス(Taral Kuvindas)の魔術キーワードも収録。

(5)放浪者と奇人たち

 ルナーにもサーターにも属さない、奇妙な集団を紹介しています。

・青銅のラバの交易商(The Brass Mule Merchant)
 青銅製のラバを連れてあるいている奇妙な商人。シナリオフック用のNPCみたいな感じです。

・ブンダリーニと骸骨だらけ隊(Bundalini and His All-Skelton Band)
 スケルトンを使う奇妙な楽団を紹介。隊を率いる巨人ブンダリーニは1300年代から生きていることが知られているそうです。
 えーと、ここも参照…

・人形使い一座(The Puppeteer Troupe)
 ボードゲーム「ドラゴン・パス」で特殊ユニットとして登場していた「人形使い」です。
 「普通の一座ですよ」とか言っていますが……。

・デルクローヴァ(Derkrova)
 アルダチュール周辺を彷徨っている精霊使い。

[Clan Activities]:

 氏族の一般的な活動をシナリオ上でどう使うか、ということを紹介しています。

 季節のイベントの運用方法、『ヒーローウォーズ』基本ルール161ページの「事件型エピソード」の判定に失敗したときに起こる典型的な事件など(富、風紀、脅威、魔術のそれぞれ)を解説。また、日々の冒険(パトロール、不意打ち、牛泥棒)についても解説しています。

 コラムとして「反乱」と題し、ルナー帝国が日常どのような圧制をひいているのか、それに対するサーターの反乱の形(3つあります)なども述べられています。

[A Year of Chaos]:

 題の通り、氏族に混沌の脅威が一年にわたり襲いかかるという内容のストーリー。シナリオというか、「あなたのキャンペーンでネタに詰まったらときどきこのエピソードを挿入してみたら?」というシナリオアイデアのような感じです。各季節でいろいろなイベントが起こります。

[Blood Feud]:

 小さな諍いが、報復を繰り返すうちに氏族どうしの血で血を洗う抗争に発展していく……というストーリー。オーランスは「暴力というのも1つの手だ」と言っているので、サーターではこういったこともよくあるようです。それを防止するために「賠償金」(weregild)という法が定められているのですが、これは受け取る義務はないんですよね……。

 氏族同士の抗争がどう行われ、どう解決されるかという解説にもなっています。

[These Women Need Help]:

 放浪する癒し手の一団を護衛してサーターを旅するという連作シナリオアイデア。
 癒し手たちはそれぞれ別個の目的を持っていて、人間関係も錯綜。なかなか面白そうなエピソードが作れそうです (^^; 。

[Come The Hurricane]

 来るべき英雄戦争の予言。いろいろと意味深なことが書いてあります。
 ホワイトウォールで恐るべき誓いを立てるというのは、ブロイアン王とカリル女王のことかなあ……。

 「大嵐よ、来たれ!」

[Index]

 4ページにわたる詳細な索引。

[What Grandpa Told You]

 サーターの歴史を1ページにまとめたもの。コピーしてプレイヤーに手渡せるようになっています。

●まとめ

 「もう、お腹いっぱい」といった感じ(笑)。 「グローランサ年代記」でオーランス人の生活がどういったものかは解説されていますが、それを実際にどうプレイするのかという事、またそのためのサポート情報が網羅されています。ヒーローウォーズでキャンペーンシナリオをやる人は必携の一冊だと言えるでしょう(僕もこれを活用してキャンペーンをやる予定です)。

 あと、ボードゲーム「ドラゴン・パス」を遊んだことがある人は、各所でちょっとノスタルジックな気分になれるでしょう(笑)。

 ちょっと残念だったのは、氏族作成ルールである「Clan Questionary」と、サーターの各地を解説したガゼッタが収録されていないことでしょうか。次のサプリメント「Orlanth is Dead !」には入るらしいのですが、もうちょっと高くなってもいいのでこれは入れておいて欲しかったところです。

 あと、全然解説されていないことがポーンと出てきてほったらかしになっている部分が何カ所かあったのがちょっと気になりました(啓発者ってどんなの? とか、オーガの崇めるカコデーモンのカルトってどんなの? とか)。……でも、まあ、いつもの事か(笑)。

オンラインのオーダーは http://www.wizards-attic.com/IssariesHeroLine.html から可能です。

 

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