フワーレン・ダールシッパ

Hwarin Dalthippa

勝利の娘


作:Harald Smith
翻訳:しーちゃん

1、神話と歴史

 1280年ごろ、北方に赤の皇帝と「選ばれし紡ぎ手」(Spinner Who Was Chosen)としか知られていないデンダーラの女祭の娘として、ダールシッパという名の少女が生まれた。ダールシッパは彼女の子供時代をオスリル河のそばの小さな村で過ごした。彼女は料理や治療、陶芸や彫刻、糸紡ぎや機織りなど女性としての技術を急速に身に付けていった。ある日、ダールシッパが彼女の母のために河に水を汲みに行き、そこで彼女は最初の河の精霊、いたずら好きのスプライトに出会った。この精霊は彼女をだまして殺そうとしたが、ダールシッパはそれを逃れた。後になって彼女は魔力を秘めた大きな水瓶を携えて戻ってきてスプライトをとらえ、彼女の水に対する支配の最初の証しとした。

 彼女の父、赤の皇帝がダールシッパの技を聞きおよんで、彼女を宮廷へと招いた。そこでダールシッパは、伝説の物語を勉強することで、読むことを覚えた。彼女の父が彼女が新しい寺院に入ることを薦めたとき、彼女はすぐさま同意した。彼女の父が、彼女が新しい名前を得なければならないと告げたとき、彼女は以前読んだことのある名前で、彼女自身にあう様にアレンジしたものを選んだ。彼女は自らをフワーレン(Hwarin)と呼んだ。

 赤の皇帝がダラ・ハッパ人達を征服すると、彼は彼らの力を自分の物にしようとした。彼はラインバンスの太陽神殿に、彼の選んだ子供一人を入信させるよう要求した。彼らはそれに同意したが、フワーレンの到着は保守的で家長制的な司祭達に少なからずショックを与えた。彼女は女性であったが、彼らは彼女を拒否することができず彼女は彼らの寺院へと入った。彼女はそこで槍と盾の使用、武器の製作、戦略、戦術の運用を学んだ。司祭達は彼女を殺そうとし、ついには彼女をオスリル河の孤島に閉じこめた。彼らは女神オスリラの許にやってきてフワーレンを滅ぼす様求めた。しかしフワーレンの所にやってきたのはオスリラではなく、より古代のヘビで恐るべき力を秘めたネステントス(Nestentos)であった。

 ネステントスはフワーレンに巻き付いたが、彼女を絞め殺すことはできなかった。ヘビはその隻眼のひと睨みによって彼女を麻痺させようとしたが、フワーレンはそれに抵抗した。フワーレンはみずからの武器を抜き、ネステントスの目を切り取ってみずからの物とした。彼女はネステントスの血を飲み、水を見つけ出す秘密の力を得た。彼女は力を得て太陽崇拝の司祭たちの前に舞い戻り、彼等を父の征服の前にひれ伏させた。

 1/49(1296年)の“炎月”の後、彼女の父は彼女にリストの地を示した。彼女が到着したとき、その地は煙を上げ燃え続けていた。ゴミあさり達が宝物を捜しながら大きく傷ついた大地を歩きまわっていた。残っていたエルフ達が彼女の行く手を遮ろうとしたが、フワーレンは大地の奥底深くに隠された古き泉を探しあてた。彼女は泉を探しあてると、一千段に及ぶ花崗岩の階段を下り、「三つの塩血の洞窟」へとたどりついた。フワーレンはそこで力ある言葉を発し、地獄の業火の如き欲望が彼女の肉体を通り抜けるを感じた。彼女の血は沸騰した。 彼女は古代の女神、セアードの母レラディーヴァ(Reladiva, Mother of Saird)の夢と苦痛を聞き、そして感じた。苦痛の中で彼女はネステントスを呼んだ。

 それまでの闘いで、盲目となり怒りにに燃えていた古代の蛇は、やってくるっと彼女の魂と精神を呑み込んだ。彼は彼女を覆い尽くそうとしたが、逆に彼女はみずからで蛇をからめとっていた。彼女の燃える欲望は隠されていた渇きを彼の揺らぐ舌によって呼び起こされた。ネステントスの水の力はフワーレンを洗い流し、彼女の欲望を冷やした。逆に彼女の燃える渇きがネステントスを洗い、彼の視力を癒やした。力は調和を見いだした。

 フワーレンとネステントスはネステントスの子をともない、花崗岩できた一千段の階段を共に登った。水は樹木や草の根をたどり地表へと昇った。燃えさかる炎はすべて消えた。フワーレンは後に月ユリ(Moonlilies)と呼ばれことになる花で満たされた、輝ける泉で、レンスティラ(Lenstira)という名の子を生んだ。エルフと月の民は泉のまわりに花の宮殿(Palace of Flowers)という屋外様式の社を開いた。レンスティラの適切な献身で、帝国はリストの地に再入植を果たし、それらの多くがフワーレン・ダールシッパの直轄統治の下に置かれた。

 2/1(1302年)、フワーレンは自分自身をこの地の真の息子であることを証明してみせた試した男と結婚することを告げた。多くの者がフワーレンの手と心を求めてやまなかったが、過酷な試練をやり遂げたのは3人だけだった。その3人の中でシリーラでもっとも力ある首長“斧の巧み”イングコット(Ingkot Axe-and-Half)が彼女を射止めた。彼らは2/8(1309年)に結婚し、そして二人ですばやくシリーラ全域を手中に収めた。続く9年間、ダラ・ニの住人達、後になってヴァンチの住人達もフワーレンの進出を阻止しようとしたが、両者の努力は徒労に終わった。2/25(1326年)には、赤の皇帝はシリーラを君主領として、さらにフワーレンとイングコットをはじめての支配者一族の創始者として受け入れた。

 フワーレンとイングコットはオスリル河のたもとのジラーロ(Jillaro / シリーラの主要都市)の城塞に居を定めた。二人の統合を祝福させるために、彼らはレラーディヴァとネステントスの力を城砦の廃墟の頂に呼び寄せた。彼らが出会ったその場所で、ニヴォー(Nivorh)は戒めから解き放たれ、フワーレンに美の種(Seeds of Beauty)を与えた。ハイアラ(Hyala)は隠れていた場所から現れ出て、イングコットに強き馬の祝福(the Blessing of Strong Horses)を与えた。

 それからフワーレンとイングコットはジラーロの城砦を再建し、古代の大地を整えた。フワーレンが美の種を植えると、街中にクローバーが茂り、彼らはイングコットのとっておきの馬達をそれで養った。フワーレン・ダールシッパと彼女の子らは街全域を注意深く見守っていた。伝説的なムーンゲートは国のすばらしい調和を反映したものだった。職人達は誉れ高き馬門と幸運の馬小屋を建てた。運河、特に瞑想の大運河は、大地と水を共に街へともたらした。

 フワーレン・ダールシッパの下、すべての川が月の勢力の伸張に参加してわけではなかった。強力な黒ウナギ川は彼等に対し泳いで北上した。フワーレンの息子フィマクスは黒ウナギ川に接触するために前進した。彼は川の力を橋に縛り付けるため、ネステントスを呼び彼を祝福させようとした。ネステントスはフィルマクスの所にやってきたが、不機嫌のあまり彼を食べてしまった。フィマクスの血は水と混ざり合い、下流全域を洗い流した。イングコットはネステントスと新たなる敵、“豪胆”ヴァレリウス(Bold Vareleus)に対する復讐に旅立った。イングコットはヴァレリウスを倒したが、ネステントスは怒り狂い、代わりにイングコットを殺した。悲しみがフワーレンを満たし、彼女は力を結集するために城塞へと退却した。

 犠牲と悔恨、そして入念な準備に費やされた数年後、フワーレンは彼女の敵に対して兵を進めた。2/46(1347年)に彼女の侍女ハイアラ、多くの魔術師、そして送葬の歌を歌う女祭たちを率いて、フワーレンは最愛のジラーロから南へと兵を進めた。彼女はネステントスの秘密の小道を見つけ出し、彼女の使命を果たすためそれを伝って行った。フィルマクスの架けた橋を渡ると、彼女の息子と夫の霊が語りかけてきた。彼女は戦用ユニコーンに跨ると、赤い仮面をかぶり、2人の霊を伴って一直線に駆け抜けていった。

 黒ウナギ川河畔のミリンズ・クロスにおける魔術的な戦いは4日間にわたった。フワーレンはレラディーヴァとニヴォーの力を呼び起こした。またハイアラに対して騎馬を差し向けるよう呼びかけた。対する敵“賢明なる”グイサーは、オスリル河に助力を求めた。

 川はフワーレンの周囲で立ち上がったが、彼女は古のネステントスの力から引き出した秘密の知識により生き延びた。フワーレンとネステントスは対峙し、戦い、愛し合った。オスリル河との和解の証として、水晶のように澄んだ水でできた子供が誕生した。この子は水そのものであるにもかかわらず、大地のように堅牢で打ち壊すことのできない存在であった。フワーレンは戦いの中でグイサーを盲目とし、ネステントスは子供を守護する義務を負わせた。帝国の勝利が確定的なものとなり、蛮族たちの同盟者たちは逃げ去った。

 フワーレンはその後もハイアラの後をたどって探索を続けた。彼女は最後にフィリチェットで歩みを止めた。そこで彼女はペリデスの兜(the Helmet of Perides)を我が物とし、数多の蛮族の首長の臣従を受け入れた。この時フワーレンは征服の娘の名を獲得した。

 数年の休息の後、フワーレンは再びネステントスの古代の経路を辿る、第二の街道を創造した。この道は、シリーラのカフォルに始まり、東方に向かってイムサーのヒルタウンへと伸びていた。街道沿いでヴァンチから侵入した蛮族を打ち破り、それらを街道の建造の義務に縛り付けた。ヒルタウンで彼女はイムサーの神であるイムサス(Imthus)、アイーデア(Aidea)とルナー神殿のつながりをイムサーの王に説き明かした。フワーレンは父から息子への力の継承の証として、彼女のかっての夫イングコットの魔剣を養子として彼女に迎えられた息子に与えた。フワーレンはその見返りに、豊穣の象徴としてのカーディナル(ショウジョウコウカンチョウ)の3つの鉄の卵、成長を表す3つの青いファーストーン、死を打ち破る英雄の力を象徴する3つの星をあしらったベルトを送られた。フワーレンのこれらの贈り物から生まれたカーディナルはフワーレンの同盟者となり、ジラーロのまわりに群れをなした。

 3/3(1358年)にフワーレンはレラーディヴァのささやきを聞き、夢を見た。彼女はジラーロにあるクレバスへと歩み入り、彼女の探求を完成させるために再生の階段(the Stairs of Rebirth)を伝って大地の深遠部へと降りて行った。続く1週間の間に1000人もの人々が彼女の記憶の中でクレバスへとその身を投じた。後に市民はこのクレバスをフワーレンの井戸(Hwarin's Well)、もしくはフワーレンの神託(the Oracle of Hwarin)と呼んだ。割れ目のフワーレンのよくか神託を呼んだ。強い意志を持つ者はその地へと入り、征服の娘のささやきを聞き、夢を見る事ができる。

 フワーレン・ダールシッパのルーンは、「月」、「調和」、「安定」である。

注:よく言われる記されざる者(No Print)によるフワーレンの暗殺がオーランス人の悪質なプロパガンダにすぎないことは明白である。

参考:Gods of Glorantha, Heroes v.1 #2,5, Genertela: Crucible of the Hero Wars, Glorious ReAscent of Yelm, Fortunate Succession, plus Greg.上に注記したように、これは決定稿ではない。

2、カルトの生態

 「勝利の娘」はルナー帝国の安定させようとする影響力の体現である。彼女のルーンはカルトのその側面を強調している。フワーレンは、水を治め大地を富ませることで、土地に調和と豊穣を提供している。彼女は彼女の道によって都市と村を結び、兵士を土地を守るように訓練することによってシリ−ラに安定性をもたらしている。彼女は彼らを土地の富から博愛を生むように男と女の両方を訓練することによって、チャンスと公正さをもたらしているのである。

 フワーレン・ダールシッパは、クリムゾン・バットのようなデーモンを除いて、ルナー神殿の他の多くの神々と友好関係にある。彼女はそれらの能力が赤の女神に与えられるという援助は認めているが、彼女は彼らの愛を受けていない。ヤナーファル・ターニルズや帝国の他の戦闘系カルトとは友好的なライバル関係にある。

 征服の娘のカルトは「娘の路戦役」(the Daughter's Road Campain)以降、帝国拡大の最前線には立っていない。かわりに昇月の女神ヤーラ・アラニス、そして現在ではジャ・イールがその任務を担っている。かわってフワーレンのカルトは帝国最大の人口を擁する征服地、特に南ペローリアの安定に尽力している。そこは彼女への信仰が最も盛んな地域でもある。

 征服の娘は大地の神殿のほとんどの神と友好関係にある。ルナー神殿のカルトの例に漏れず、風の神々と根強い対立関係にある。フワーレンは彼らと戦い、多くの者たちを赤の女神の光の中へと解放した。太陽と天空の神々はフワーレンが彼らの能力を盗んだと信じているため、お互い競争関係にある。ルナー神殿の中では例外的に河川の神々とは絶えざる闘争関係にある。フワーレンと古代の川ネステントスとの数多の闘争の象徴として、フワーレンの信者は川の民にみずからの価値を証明するよう努力せねばならない。

3、世界におけるカルト

 勝利の娘に対する崇拝はルナー帝国南部属領地を覆っており、シリーラ、イムサー、ヴァンチでは特に顕著である。これらの地では、フワーレン・ダールシッパは好まれている女神である。カルトの力はタラスター、およびルナー直轄地ターシュへも伸びている。軍と縁遠いルナー帝国の北部や東部ではわずかな影響力しかもたない。

 宗派の中心はジラーロの街にある。ここにはシリーラの君主とその妻が座し、属領地と宗教の両方を統轄している。彼らは赤の皇帝に直接に報告し、すべての高司祭からの報告を受け取る。ジラーロはまたフワーレンの井戸へむかう中心地であり、入信者や司祭が、フワーレン自身から神託を受けるために奈落の恐怖に立ち向かうことができる場所である。

 寺院は南の属領地中に存在する。これらの寺院はジラーロの大寺院からイムサーの辺境の小さな社まで規模は様々である。ルナー連隊は通常社か小寺院を支えている。社では《技巧》を教え、軍隊では《盾》を教えている。

 寺院の規模にしたがい高司祭および/または最高司祭が神殿を導いている。前者は彼らの管理地域内のより小規模な寺院すべてに対して責任を負っている。軍隊内の寺院は道の戦士のサブカルトに加わっている司祭に従っている。また主席工兵と呼ばれる司祭によってのみ導かれる、工兵学院と呼ばれる特別な寺院と軍隊組織も存在している。

 フワーレンの第一の肖像は額に第3の目を有する兜を被った女性である。片手に槍を持ち、足元には盾と糸巻棒がある。他の一般的な肖像は以下のようなものである。「手に蛇を持ち、小山に立つフワーレン」「蛇が彼女の体巻き付いていてボウルを抱えるフワーレン」そして、「川にかかる橋の上で馬に乗っているフワーレン」。

4、入信者

 勝利の娘の入信者となるためになるためには、候補者は少なくとも片方の親が信者であるか、標準的な試験に合格しなければならない。試験に必要な技能は〈浄化〉と〈第一のカルト製作〉技能、〈修理〉もしくは〈第二のカルト製作〉技能、〈槍攻撃〉もしくは〈盾受け〉、〈世界知識〉である。カルト製作技能とは、料理、地図製作、石工、陶工、彫刻、盾製作、石細工および機織りである。

精霊呪文:《機敏》、《水検知》、《活力》、《にかわ》、《防護》、《修復》、《筋力》。

6、司祭

 勝利の娘の司祭となるためには、候補者は少なくとも10ポイント分のPOWを神性魔術のために捧げていること、4つの技能それぞれについてすくなくとも50%の成功率を有していること、少なくとも50%の儀式魔術の成功率を有していること、新ぺローリア語(ルナー語)読み書きを50%以上知っていることが必要である。その上で候補者はキャラクターのPOW×3以下の聖試験に合格せねばならない。

 司祭はすべての一般神性呪文を学ぶことができる。《神託》は水に触れていなくては執り行えないので注意する事。 

 彼らは以下の特殊神性呪文を学ぶ事ができる:《悲嘆の精霊支配/召喚》、《水発見》、《技巧》、《道標》、《悲嘆の精霊抑圧》。

7、フワーレン・ダールシッパ特殊神性呪文

《技巧》 Finecraft
1ポイント、接触、一日、複合不可、再使用可
 この呪文は呪文の持続時間中、標的のすべてのカルト製作技能の通常の成功率を2倍にする。呪文は技能分野修正には影響を与えない。

《道標》 Mark Path
1ポイント、遠隔、1日、複合不可、再使用可
 人物か動物の脚に投射する。その個人もしくは動物がとった道は呪文の持続時間中であれば、魔術的に検出する事ができる。

《悲嘆精霊抑圧》 Suppress Grief Spirit
1ポイント、儀式(浄化)、複合不可、再使用可
 悲嘆精霊によって憑依された個人に投射する。この呪文は呪文の持続時間中悲嘆の精霊の影響を抑える。儀式の時に同時に投射された魔力ポイントにしたがい、持続時間表を使用して精霊を抑えていられる時間を決定する。

8、下位カルト

復讐の精霊──悲歌の歌い手 The Lamented

 フワーレンがフワーレンの井戸を通ったとき、ジラーロの街は悲しみに包まれた。多くの人々は慰めを失い、フワーレンに続いて割れ目へと入り、そして死んだ。彼らの魂は、勝利の娘の意志に従う悲嘆の精霊、悲歌の歌い手となった。同じカルトの構成員を殺した信者や誓いを破った信者の所には、フワーレンは歌い手の一人を送り、精霊戦闘をかけさせる。彼らは3D6+6のPOWを有している。彼らは相手のMPを0に引き下げるか(成功すれば犠牲者を占有する)、彼ら自身のMPが0に引き下げられるまで攻撃を続ける。犠牲者が呪文によって守られている場合、彼らその相手に憑依するか、1週間が経過するまで、犠牲者につきまとい続ける。

悲嘆の精霊 Grief Spirits

これらの精霊は感情精霊で、空中にゆらめく青緑の顔のように見え、たえず涙を流し、うめいている。これらの精霊が標的に憑依すると、犠牲者は自身の心の中にあるもの悲しさ、自分の人生を終わらせたいという欲望を常に自覚するようになる。これにより、精霊のPOWに等しいパーセンテージが彼のあらゆる技能の成功率から差し引かれる。1季に1度、精霊のPOWと憑依された者のPOW、INTとで抵抗ロールを行い、精霊が勝てば憑依された者は自殺を試みる。

工兵学院 College of Engineers

 この下位カルトはルナー属領地軍の特殊部隊の一翼を担っている。この部隊は通常部隊の助力の下、道路や橋を迅速に延長する能力を有している。

 この下位カルトに参加するためには、入信者は2種類の<(カルト製作)>技能に75%、<呪付>と<世界知識>の両方の技能に50%の成功率を有していなくてはならない。神性呪文がどのように与えられるかは、その人物が入信者か司祭かにかかっている。加えて、呪付師には2つの特殊神性呪文が再使用可で提供される。

特殊神性呪文:《ルナー街道祝福》、《路石創造》。

《ルナー街道祝福》 Bless Lunar Road
2ポイント、儀式(呪付)複合不可、再使用可
 この儀式は道路にしか投射することができず、完成までに1週間を要する。呪文は1日あたり1qにつき10MPを捧げなくてはならない。儀式が投射される際道路上に「路石」が存在すれば、呪付はカルトの入信者すべてに効果を発揮するが、そうでない場合呪付師、司祭、および道の戦士にしか効果を発揮しない。呪付がカルトの信者でない者に効果を発揮することはない。
 儀式が完成すれば、呪付された道に立つカルトの構成員のHP、FP、MPは1ポイント上昇する。この効果は構成員が道との接触を維持する限り持続する。構成員が道から完全に離れてしまったなら、彼もしくは彼女が道の上に戻るまで、彼らに対する呪付の効果は失われる。
 入信者に対するこの呪付の効果を破壊するためには、すべての「路石」を破壊せねばならない。ルーンマスター・レベルへの効果を破壊するためには、道全体を完全に破壊せねばならない。

《路石創造》 Create Rord Stone
2ポ゚イント、儀式(呪付)複合不可、再使用可
 この儀式は道に設置された、特殊な細工を施した石に対して執り行われ、基本的に《ルナー街道祝福》の呪文のために使用される。儀式は1週間の間、呪文1ポイントにつき、毎夜1MPを石に注入する必要がある。呪付された「路石」の上に立つ者はだれでも、<槍攻撃>と<盾受け>の成功率が複合された呪文1ポイントのにつき1D6%上昇する。

道の戦士

 勝利の娘に従い戦場へとおもむいたシリーラの市民は、最初の道の戦士となった。彼らはフワーレンが太陽神殿から奪った魔術を伝え、この特殊な下位カルトを確立した。

 以下の技能の内、3つの技能に90%の成功率を有する入信者は道の戦士となることができる。:〈製作(料理、地図製作、石工、盾製作)〉〈修理〉〈(盾または槍)受け〉〈槍攻撃〉〈世界知識〉。道の戦士は三つの神性呪文を再使用可で獲得する。

特殊神性呪文:《道の力》、《盾》、《神槍》。

《道の力》 Roadstrength
2ポイント、遠隔、1日、複合不可、再使用可
 この呪文は標的の基本STRを2倍にする。この時制限や能力値限界は無視される。呪文の利益を受けるために、標的は呪文の投射時に道に接触していなければならない。その後彼女または彼が道をはなれても、呪文の持続時間中であれば道へと帰るたびにSTRの特典を手に入れる事ができる。


■訳者の覚書

集団魔術について

Steve Maurer氏のinternet上の記述(Cults within the Lunar Empire)には、彼女のカルトがルナー魔術連隊の大半を統制されていること、その呪文の大部分が地域規模の魔術であり、100名以下の魔術部隊では使用することができないことが記されている。こうした魔術は大半が軍用路の建設や渡河用の簡易橋の建設など工兵の様な呪文が中心であろうと訳者は想像している。ひょっとすると大地の神々との関わりからその関係の破壊系呪文が存在するかもしれない。

友好カルトについて

ここでは友好カルトが定義されていない。文中にあるようにあまりルナーの神々と呪文のやり取りを行っていないとしても、最低限は存在するはずである。ここでは訳者の考える友好カルトと提供呪文を提示しておく。

赤の皇帝 カルトの大司祭に《月槍》。
デンダーラ 《ノーム支配》。
ヤーナファル・ターニルズ 道の戦士に《戦意高揚》。
七母神  《ルナー・エレメンタル支配》《精神破壊》。
ヤーラ・アラニス 《恐怖》。


■まりおんの補注:

このライトアップについて

このライトアップは、Harald Smith 氏による「Cult of Hwarin Dalthippa」の翻訳である。氏は現在、セアード地方に関する「エキスパート」(グレッグ・スタフォード氏と協力して、HeroWars 向けの設定を作るデザイナー)となっており、セアード地方の主要な女神であるフワーレンについての設定に関しての妥当性もかなり高いのではないかと思われる。ただし何分かなり古い時点でのライトアップであり、また一部は未完成(侍祭位については「後に追加する」とされている。この翻訳では省略してある)であるため、使用に際してはその点を留意されたい。

このライトアップにおいて、フワーレンと水の力の関係について何度も言及されている。ホン・イールがルナーカルトの「大地」の側面を司るのと同様、フワーレンは「水」の側面を司っているのかもしれない。(ジャ・イールは? ――「嵐」かなあ) また、Harald 氏によれば、フワーレンはセアードの女神レラディーヴァの化身であるという。

太陽神殿、および河川の神々と対立関係にあるというのはおもしろいかもしれない。

TOME Lunar Cults Book 版との相違点

TOME #3-2 Lunar Cults Book においても、フワーレン・ダールシッパは簡易ライトアップとして紹介されている。その際、以下の点が変更されている。

・ 一般神性呪文全ては提供しない(ほとんど提供しているが)。
・ 《悲嘆精霊召喚/支配》は《カルト精霊支配》に含まれるので割愛。《悲嘆精霊抑圧》は、神話的起源がよく分からなかったので削除。
・ 下位カルトの呪文を司祭の提供呪文に含める(簡易ライトアップだと下位カルトは紹介できないため)

友好カルトは以下の通り。

赤の女神:司祭は通常の手続きに従い「赤の女神」の入信者となることができる。
赤の皇帝:《月槍》を提供する。
デンダーラ:《家の祝福》を提供する。

デンダーラはフワーレンの母がデンダーラの司祭であるという繋がりからの呪文提供である。神話から考えると、デンダーラよりはむしろレラディーヴァからの呪文提供があってもいいかもしれない(《収穫祈願》あたりか)。

皇帝の霊感

Duck Nicolson 氏の「History of Hwarin Dalthippa」において、フワーレンは「月の息子の第一の霊感」であるとされているが、オフィシャル的にはフワーレンは「霊感」ではない(第一の霊感は、帝都グラマーである)。ただ、シリーラ君主領の住人はその守護女神を「霊感」と考えていてもおかしくはないだろう(真実とは、受け取る側の問題である)。

その他の注釈

■ダラ・ハッパ人達を征服
1275〜1285年の「ダラ・ハッパ反乱」を鎮圧したことを指す。

■ネステントス
オスリラ(オスリル河の女神)の、イェルムになだめられる前の名である。おそらく、現在では河の洪水、荒れ狂う姿の側面を協調したオスリラのひとつの相を指すのだろう。ネステントスがなだめられた敬意については、TOME#3−1 p.19 「ダラ・ハッパ帝国」を参照。

■“炎月”
ダラ・ハッパ反乱に加わったリストの森のエルフに対して使われた、集団ルナー魔術。リストの森を焼き払った。TOME #3−1、p.37参照。

■レラディーヴァ
この女神に関しては、TOME#3−1を執筆するにあたり Harald 氏に質問したので、その回答をここに記しておく。

『レラディーヴァは、セアードの女神(land goddess of Saird)です――エスロラがケタエラの女神であるのと全く同じ意味において。彼女はアーナールダとははっきりと性質を異にしています。彼女はその神話を通じて多くの配偶者を持ち、それぞれがセアードの様々な民族の全く別の神話のもととなっています。……(中略)……セアード人とヴァンチ人にとってアーナールダは「オーランスの妻」です。セアード人にとっては、レラディーヴァは常に新しい配偶者を得ているのに対して、アーナールダは忠実な妻であるとされています。ヴァンチでは、アーナールダはもっとあいまいな役割しか果たしていません』

イェルム神話では、「イェルムの嫁取り試合」に参加した十の女神の一柱として登場する(TOME #3−1、p.27)。また『幸運なる継承者』においては、レラディーヴァはジラーロの守護女神であり、赤の皇帝に神器「無垢のサンダル」を提供するとされている。
より詳しくは、TOME#3−1、第3章「地誌」の中のホーレイ、ヴァンチ、シリーラの「歴史」の項を参照のこと。

■ニヴォー
アナクシアル王朝(「小暗黒」時代)のころ、セアードを統治していた都市ニヴォラー(Nivorah)の都市の神だと思われる。ニヴォラーの住民は「黄金のドーム」でダラ・ハッパを覆う計画に反対し、最後にはヴァリンドの氷河に潰されて滅んだ。その民は騎馬に乗り逃れ、ハイアロールの民となったとも、ペント遊牧民の祖となったとも言われる。
ここでは、フワーレンが古代の都市の神を解放し、その力をジラーロに与えたと言っているのだろう。

■ハイアラ
どうやら、騎馬の女神であるようだ。ハイアロールとなんらかの関係がある?

■クローバー
この豊かなクローバーの草原のため、ジラーロは「姫君の緑のジラーロ」と呼ばれる。

■とっておきの馬
ジラーロは「ジラーロ馬」という俊足の馬を産することで有名である。TOME#3−1、p.148 参照。どうも、ジラーロと馬はとても深い関係があるらしい。

■川の民
オスリル河、またその支流で遊牧民のように生活している民族。「ゆりかご河」周辺で見られる河の民のようなものだろう。アルコス版「父の語ってくれたこと」で触れられてい「草の民」や「泥の民」も、川の民だと思われる。川の民はフワーレンの主要な敵であった。

■水晶のように澄んだ水でできた子供
ミリンス・クロスにある「水晶の橋」のこと。水晶の橋と黒ウナギ川については、TOME#3−1、p.62 の「黒ウナギ川(神話)」を参照。

■子供を守護する義務を負わせた
「ジェナーテラ・ブック」のミリンズ・クロスの項によれば、グイサーは現在もまだ水晶の橋を守護しているようである。

 

ico_cat3.gif (191 バイト)[トップへ戻る]

[What's New] /  [いんふぉめーしょん] / [よくわかる?グローランサ] / [Art Gallery]
[灰色卿らいぶらり] / [既刊新刊] / [らんだむとーく] / [りんくす] / [BBS]

mailto.gif (852 バイト) Webmaster: まりおん